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社説

地方銀行の経営統合 「より大きく」が解なのか

 地方銀行の経営に活路を見いだす契機となるのだろうか。

     ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合を公正取引委員会が認めた。これにより長崎県内では、FFG傘下の親和銀行が十八銀と合併する見通しとなった。

     当事者どうしは2年半前に基本合意していたが、県内の中小企業向け貸し出しが約75%と圧倒的水準に高まることを公取委が問題視し、延期を余儀なくされていた。

     貸し出し債権を他の金融機関に移し、2行のシェアを65%程度まで落としたことが、承認に道を開いた。

     これにより再編の加速を期待する声もある。しかし、地銀を取り巻く環境は、合併によるコスト削減などで乗り切れるほど生易しくはない。

     地銀の仕事は、地域で集めた預金を主に地元の企業や個人に貸し、金利の差額でもうけを得ることだ。投資信託などを窓口で販売し、手数料収入を稼いだりもする。

     しかし、こうした本業で赤字となる地銀が続出している。金融庁の調べでは、2017年3月期時点ですでに半数を超えていた。

     地銀といっても、預金は平均で3兆円を超え、しかもなお増加中だ。一方、人口減少に伴う地方経済の停滞で、貸し出しによる運用は厳しさを増している。そこに日銀のマイナス金利政策が追い打ちをかけた。

     預金に支払う金利が貸し出しから得る金利を上回る逆転現象も起きている。そうした環境下で、規模の拡大は賢明な解決策といえるのか。

     企業との関係を密にし、事業の提案などを行うのが、本来地銀に期待される役目だ。合併で顧客区域が広がる一方、コスト削減の合理化をすれば、それも果たしにくくなる。

     今回の統合について公取委は、圧倒的規模の貸手の誕生により、競争が損なわれることを懸念した。しかし、現実には地方の多くの企業は商工中金など政府系金融機関から有利な条件で資金を調達している。

     むしろ政府系の存在が地銀を含む民間金融機関の収益機会を奪い、統合に突き動かしているといえよう。

     預金への資金集中、マイナス金利政策、政府系金融機関の存在といった構造的な問題が温存される限り、地銀の試練は続く。

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