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街角から

慰霊に尽くした生涯 台北支局・福岡静哉

 「ここに骨つぼが納められています」。台湾中部・台中市の宝覚寺(ほうがくじ)。林法玄(りんほうげん)住職(65)が案内してくれた部屋には金色に輝く納骨所が並んでいた。一つ一つの扉の奥に骨つぼが丁寧に納められている。「戦前、台湾で亡くなった日本人約1万人のご遺骨です」

     話は1947年にさかのぼる。野沢六和(のざわろくわ)さん(故人、当時29歳)が中部・苗栗(びょうりつ)県の自宅庭で農作業中、約500体もの遺骨を見つけた。自宅の敷地は戦前、日本陸軍の病院があった場所。死去した日本兵らの遺骨だった。無造作に埋められ、毛布にくるまれただけのことも多かった。

     野沢さんは中国出身。日本人の妻と結婚し、日本国籍を取得していた。各地の知人に日本人の埋葬状況を尋ねると「荒廃している」との情報ばかり。手記にこうある。「遺族に代わって霊を慰めてこそ戦争に生き残った者の務め」。花の種子の行商をしながら十数年かけて身よりの分からない遺骨を集め続けた。長男憲博(のりひろ)さん(80)=兵庫県三木市=は「父は『ひとごとではすまされない』とよく言っていた」と振り返る。

     野沢さんに共感した林住職の父、錦東(きんとう)さん(故人)の協力で、61年に遺骨は宝覚寺に納められた。法玄さんは「父の遺志を継ぎ、しっかりとお守りしたい」。心に満ちた感謝の思いを法玄さんに伝えた。

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