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NPO地域カフェ

出所者の居場所作り「本気の更生支援」

服役した経験のあるスタッフとカフェ開設の準備を進める五十嵐理事長=東京都墨田区で、根岸基弘撮影

 出所者らの更生、社会復帰を支援するNPO法人「マザーハウス」(東京都墨田区)が、当事者の居場所作りを進めている。事務所の隣の倉庫を改装したコミュニティーカフェを9月1日にオープンさせ、加害者家族の相談も受けつける。元受刑者で同法人の五十嵐弘志理事長(54)は「当事者の立ち直りと、地域とのつながりを後押ししたい」と抱負を語る。

 五十嵐さんは詐欺などで服役した前科3犯で、20年近く刑務所で過ごした。家族から見捨てられ、自殺を考えたこともあったが、手紙を交わした神父らが心の支えになった。「赤の他人の自分に貴重な時間を割いてくれている」。生まれて初めて大事にされていると感じた。聖書を読み返すうち、犯した罪の重さを悟ったという。

 2011年12月に出所。受刑者とボランティアが文通する活動を始め、12年から出所者の生活支援にも乗り出した。輸入コーヒーの販売や寄付を元手にNPOを運営し、これまでに約50人が職を見つけて自立した。

 そうした中、社会的に孤立しがちな出所者がスタッフとして働いたり、集えたりする場を作ろうとカフェ開設を決めた。インターネットで多くの人から小口の寄付を募る「クラウドファンディング」を始め、スタッフと準備を進めている。

 7月に関東地方の刑務所を満期出所した男性(48)もマザーハウスを頼った一人だ。覚醒剤の使用を繰り返し、服役は6回目だった。受刑中の2年間、文通を続け、五十嵐さんが直接面会して住まいの確保や生活保護の申請をサポートした。男性は仕事探しの傍ら、スタッフとして働く。「社会復帰して間もないが、自分ができることを精いっぱいやりたい」と話す。

 ただ、活動が全て順調というわけではない。マザーハウスが文通した受刑者350人中、支援に結びついたのは50人程度。「変われるかどうかは本人次第だが、本気で更生したい人には支援が必要」と五十嵐さんは話すが、再犯してしまうケースがあるのも現実だ。

 それに加え、出所者に対する世間の目は依然厳しい。「被害者へのしょく罪の気持ちは消えませんが、刑期を終えた出所者は永遠に犯罪者なのでしょうか」。五十嵐さんは毎月、大学や教会で講演し、自身の経験を踏まえ、当事者による立ち直り支援への理解を求めている。

 カフェの運営にはボランティアの大学生も参加する予定で、地域との交流も目指している。カフェ開設の呼びかけ人の一人で、刑事政策が専門の丸山泰弘立正大学准教授は「出所後の住まいや働く場の有無が再犯に影響するという研究もある。『そこに居場所がある』ということが、社会生活を送る上で重要」と話している。【飯田憲】

協力雇用広がらず

 2017年版犯罪白書によると、国が犯罪や非行をした人の立ち直りに関する意識調査をしたところ、約6割の国民が「立ち直りに協力したい」と回答した。しかし、複数回答で「直接的な支援をしたい」と答えた人はそのうち約2割で、不安や抵抗感が根強いことが浮き彫りになった。出所者を雇い入れる協力雇用主の登録数は1万8555人(17年4月時点)に上り、10年間で約3倍に増えたが、実際に雇用している事業者の割合は4%にとどまっている。

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