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石弘光さん死去

世論の反発恐れず増税主張 硬骨の学者

小泉純一郎首相(当時)に政府税調の答申を手渡す石弘光氏(左)=首相官邸で2005年11月、川田雅浩撮影

 25日死去した元政府税制調査会長の石弘光さんは、世論の反発を恐れることなく自説を訴え続けた硬骨の財政学者だった。増税せず、将来の景気回復に頼った財政再建を目指す小泉純一郎政権以降の「上げ潮路線」を批判し、2006年に税調会長を事実上解任された後も、論調が衰えることはなかった。

     00年から約6年間にわたる税調会長時代、石さんは「必要な増税を先送りすべきではない」と繰り返し、景気回復をあてにした安易な財政再建政策を厳しく批判した。真骨頂と言えるのが、政府税調が05年にまとめた所得税改革の報告書だ。専業主婦を前提にした配偶者控除の抜本的な見直しなど、長年放置されてきた税制のゆがみを是正するとして、意欲的な内容を盛り込んだ。当時は「サラリーマン増税だ」と世論の強い批判にさらされたが、「問題提起すら封じるようでは、成熟した議論などできない」と反論した。

     03年には、税調の答申に初めて消費税率を2桁に引き上げるべきだと明記。当時の小泉首相は「歳出削減が先決。在任中は消費税を上げません」と突き放したが、増税の必要性を訴え続けた。税調会長として「国民に増税をお願いしている立場だから」と報酬を全額返上して理念の実現にまい進した。

     任期切れを迎えた06年、会長再任が有力視されたが、第1次安倍政権に拒否され、事実上、解任された。「上げ潮路線」を突き進む安倍政権の考え方とは正反対だったためだ。それでも日本郵政の社外取締役などの要職を歴任し、政府の経済財政運営への協力を惜しまなかった。

     16年6月、末期の膵臓(すいぞう)がんと診断された。治療を続けながら、趣味の囲碁や旅行を楽しみ、自らの闘病生活をメディアで発信していた。

     ある財務省幹部は「財政に見識があり、税調会長退任後も、政策について意見を伺っていた。気骨がある一方で、普段の語り口はざっくばらんで明るい人だった」と惜しんだ。【赤間清広、岡大介】

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