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京都

「手話スポーツ同盟」 バレーボールで交流

練習の合間の手話レッスン。この日は自分のポジションや得意技を手話で紹介した。右端の女性が山本真記子さん=京都市左京区の市障害者スポーツセンターで、2018年7月8日午後7時7分、国本ようこ撮影

 親指を立てて「ナイス!」、肩から体を手で斜め下に切る仕草で「仕方がない」--。プレーの合間に手話が交わされるのは、聴覚障害のある人と聞こえる人が共に参加する京都市内のバレーボールサークル「手話スポーツ同盟」だ。発起人の会社員の山本真記子さん(31)=同市=は現在約40人いるメンバーで定期的に通う唯一の聴覚障害者。一時は疎外感を強めたこともあったが、練習に手話レッスンを取り入れるなどし、聞こえる参加者とのコミュニケーションを図って障害への理解を広げてきた。【国本ようこ】

     サークルは2016年3月、中学でバレーボール部だった山本さんが「日ごろ運動する機会を持ちたい」と、手話通訳者の資格を持つ河内悠翔さん(30)と共に設立した。当初は聴覚障害者や手話学習者ら約15人のメンバーがいたが、仕事の都合などで次第に減少。インターネットで募集すると、練習場所の京都市障害者スポーツセンター(左京区)の近隣住民や学生たちが加わった。

     新たな参加者はバレーを楽しむのが目的で、聴覚障害者と接するのは初めての人も多かった。山本さんのプレーに仲間として声をかけるが、山本さんは気づけない。河内さんの通訳で時折会話していたが、直接話しかけることを戸惑う人もいた。山本さんは「私も周りに『話しかけたら迷惑かな』と遠慮していた。聞こえる参加者と距離があり、自分が作ったサークルなのに輪に入れず寂しいと感じた」と振り返る。

     そんな状況を少しずつ変えたきっかけは、「手話を身近に感じてほしい」と山本さんが昨年10月ごろに始めた約5分の手話レッスンだった。それまでも名前の手話表現などを簡単に紹介していたが、毎回きちんと時間を設けることにした。「あいさつ」「自己紹介」「バレーボールで使える手話」など、短いフレーズを少しずつ教えた。

     すると、プレー中の「惜しい」、サーブが決まった時の「もう1本!」といった声かけや、あいさつなどに積極的に手話を使う人が増えていった。昨年9月から加わった左京区の主婦、浅井かほりさんは「手話ありきではなく、バレーを一緒に楽しむ仲間のために手話も覚える場というのが良かった」と話す。

     浅井さんは手話レッスンで山本さんと周りの壁が取れたと感じている。「彼女にとっては手話が、他のみんなにとっての声と同じなんだと実感した。サークル内にもその意識が広がりだしたと思う」。府立大4年生の鳥飼隆至さん(22)は「自分たちの普段の会話が通じないと思い、最初は山本さんに話しかけるのに勇気が要った。聴覚障害に種類や程度の違いがあることも知らなかった。レッスンで興味が出て、プレー中に手話を使うことも増えた」と話す。山本さんも、それまでも仲間が声をかけてくれていたことに気付き、笑顔が増えていった。

     サークルとの出会いで進路を決めた男性もいる。右京区の細谷陸渡さん(18)は高校2年の時から参加し、現在は大阪の専門学校に通いながら言語聴覚士を目指す。「高校の体育教師になろうと思っていたが、聴覚障害のある人と関わったことで、サポートする仕事に就きたいと思うようになった」と話す。

     山本さんはたわいもない世間話をする仲間もできた。年齢は10代~50代と幅広く、手話を学びたい人や、ただバレーを楽しみたい人などさまざまだが、山本さんは「聞こえない人と一緒にバレーをする前向きな気持ちがうれしい」と話す。今後は本音を遠慮なく伝えられる仲間になることが願いだ。

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