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日銀

金利上昇容認1カ月 鈍い効果 国債市場低迷続く

日本国債10年物利回りの推移

 日銀が7月末の金融政策決定会合で、大規模金融緩和を修正し、一定の金利上昇を容認してから1カ月が経過した。修正直後は長期金利が急上昇したものの、その後は0.1%前後の狭い範囲内で推移しており、日銀が狙った国債市場の活性化には遠い状況だ。

     日銀は7月31日の政策修正で、従来は0%から上下0.1%程度で調節していた長期金利(10年物国債利回り)の変動幅を、「倍程度」(上下0.2%程度)に広げた。日銀が2016年9月に長期金利を抑える政策を導入した結果、国債市場の取引は激減しており、「変動幅を大きくすることで、市場の取引機能を改善する」(黒田東彦総裁)のが狙いだった。これを受け、長期金利は8月2日の取引で一時、1年半ぶりの水準となる0.145%まで急上昇(国債価格は急落)した。

     だが、日銀は同日午後、臨時の国債買い入れオペレーション(公開市場操作)を実施し、金利上昇を抑え付けた。金利の大幅な上昇を容認すれば日銀の緩和姿勢が疑われ、景気に冷や水を浴びせる恐れがある。市場は「急な金利上昇は認めない姿勢の表れ」と受け止め、その後は0.1%前後の狭い範囲での取引が続いている。

     こうした状況について、市場関係者は「日銀が実際にどこまで金利上昇を容認するのか読めず、取引しにくい」(債券ストラテジスト)と戸惑う。29日には債券市場で新発10年物国債の取引が約2カ月ぶりに成立せず、市場が疑心暗鬼に陥っていることを裏付けた。

     日銀が金利上昇を容認した後も長期金利が低水準にとどまっていることについて、貸し出し利ざや改善などを期待した金融機関からは「これでは銀行収益にほとんど影響が無い」(大手行首脳)と失望の声も出ている。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「大規模緩和への批判をかわすため副作用(国債市場の低迷)に配慮する姿勢を示したものの、『利上げ』と受け止められたくないために非常に中途半端な状態になっている。『低すぎる長期金利を上げる』ときちんと説明すべきだ」と指摘する。

     一方、7月の決定会合では、日銀が年間6兆円規模としている上場投資信託(ETF)買い入れ額を「市場状況に応じて変動させる」方針も示した。楽天証券の窪田真之チーフストラテジストは「従来は株価が下がると午後に日銀が買いに入るのがパターンだったが、修正後は午前に下落しても買い入れないケースがあり、機械的な買い方をやめている。今後の買い入れは、大きく株価水準が下がった場合に絞るのではないか」と指摘する。

     日銀の鈴木人司審議委員は29日の記者会見で、最近の国債取引の低迷について「まだ1カ月しかたっていない。(政策修正の効果が)十分か、十分でないのか、もう少し評価に時間がかかる」と述べた。市場では「今回の政策修正は一時しのぎの対応に過ぎず、国債市場の活性化には抜本的な政策変更が必要」との指摘が出ている。【坂井隆之、古屋敷尚子】

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