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毎日フォーラム・ファイル

西日本豪雨 東西輸送を比較的短時間に再開

土砂崩れで不通が続く広島呉道路(右)とJR呉線(中央)。国道31号の復旧工事が進んでいる(左)=広島県坂町で2018年7月11日

高速道路の多重化と4車線化で迂回ルート確保

 西日本の広範な地域で7月初めに発生した観測史上例のない集中豪雨は、水害や土砂崩れを引き起こし、道路や鉄道が寸断した。広域輸送の根幹を担っている高速道路も大きな被害を受けた。その一方で、迂回路への誘導や、生き残った車線をつなぐなどの形で、寸断した部分を回避し路線を確保するオペレーションが模索された。その結果、国土軸となる東西の輸送再開を比較的短期間に実現することができた。並行する高速道路の整備や4車線化が進んできたことが、その背景にあったようだ。

     従来の治山治水の想定を超えた豪雨による災害が増えている。災害が起こった場合、被災者に対する救助や救援は最優先の課題だ。そのためにはまず、人員や物資を輸送するため、途絶した輸送ルートを復旧する必要がある。

     「平成30年7月豪雨」と気象庁が名付けた今回の豪雨は、7月5日から8日にかけて西日本各地に大きな被害をもたらした。高速道路の場合、中国地方では、中国自動車道、岡山自動車道、東広島呉道路、山陽自動車道、尾道道松江道、広島呉道路が不通となった。8日未明のピーク時で37の道路、2299キロにわたり通行止めとなった。ただし、復旧には11月までかかるという広島呉道路を除き、7月20日までに他の高速道路は全通している。

     中国自動車道と岡山自動車道の全通が9日、東広島呉道路が10日、山陽自動車道が14日、尾道道松江道が20日といった具合だ。

     一方、山陽道、中国道、山陰道を合わせた中国地方を東西に結ぶ高速道路3路線の1日当たりの通行台数は、島根県東部から岡山県西部で切った断面の合計で昨年7月の平均は6.3万台。内訳は、端数処理の関係で合計とは合わないものの、山陽道4.4万台、中国道0.5万台、山陰道1.3万台だった。

     それが、7月8日は山陽道が2.3万台、中国道ゼロ、山陰道1.7万台の計4万台に減るものの、9日には計5.7万台、10~12日には平均で計7万台、13日は7.5万台と回復する。山陽道が全通したのは14日だったにもかかわらず、10日の中国道の通行台数が2.4万台にのぼったことに示されるように、不通区間を避けた迂回ルートをとるよう誘導することにより、中国地方の東西間の高速道路の輸送量は2日ほどで通常の量が確保されたことになる。

     山陰道はいまだ整備中の区間があり全通していないとはいえ、中国地方の東西の高速道路が多重化し、南北の連絡道路も整備が進められてきた。中国地方の東西を結ぶ高速道路の輸送力を、比較的短期に回復させたのは、高速道路の整備がネットワークとしての機能を果たせるようになってきたことが大きな要因と言えそうだ。

     では、どのようなオペレーションが行われたのだろうか。

     中国地方で東西の大動脈となっている山陽道は、土砂崩れなどで広島県内の志和~広島東間が不通になるなど、数カ所で被災した。一方、北側の山間地を貫く形で立地している中国道も、岡山県内の北房~新見間で路面を支える盛り土の崩落があり通行をとりやめた。

     ただし、北房~新見間の盛り土崩落部分は、上下4車線の全てが使用できなくとも、2車線を対面通行にすれば、全線でつながる。そのための緊急工事の結果、9日朝には通行できるようになった。中国道の通行止めは3日と16時間がかかったものの、問題の区間を2車線の対面通行にすることにより全通し、中国地方の東西をつなぐ幹線が確保されることになった。山陽道の不通区間を回避して、全線がつながった中国道や、山陰道に迂回すれば、中国地方は、京阪神や九州へ高速道路で移動できることになったわけだ。

     実際、岡山県西部の断面でとらえた中国道の通行台数は、8日の時点でゼロだったのが、9日には1.4万台、10~12日には平均で2.4万台、13日2.2万台と、前年7月の1日当たりの平均0.5万台を大きく上回ることになった。東西を結ぶ中国地方の高速道路が、山陽、中国、山陰というように多重化され、そのうちどこかが寸断しても、他の路線に迂回すれば通行を確保できるという、ネットワークとして機能していることを示した形となった。

     中国地方での国土軸の輸送路確保は、高速道路の多重化と4車線化を生かして、損傷した部分を回避することにより、比較的短い期間で実現できた。一方、高速道路網を広げていくため、とりあえず対面通行の暫定2車線で運用している路線は、寸断のリスクが高い。そのため被災が予想されるところを優先的に4車線化しておけば、生き残った2車線を対面通行することにより、路線全体の不通を回避できる。それを示したのが、四国の高知自動車道のケースだろう。

     高知道は、愛媛県の川之江東と高知県の大豊間が通行止めとなった。大豊インターチェンジから北に8キロほど進んだところにある上り車線の橋が7日未明に崩落したようだ。崩落部分は92年に暫定2車線として開通し、08年に4車線化した。崩落した上りの橋梁の再建には1年以上かかるものの、下りの車線を対面通行にすることにより、高知自動車道は13日午前11時に通行止めを解除できた。

     暫定2車線区間の4車線化は、重大事故防止の観点から、推し進めるべきだとされていた。今回の被災を受けて、災害時の輸送路を確保する意味からも、4車線化の必要性が示された形だ。このほかにも、寸断した一般道の迂回路として高速道路が活用され、被災地への緊急輸送に活用されている。

     沿道の人々の日々の生活維持を主たる目的としてつくられてきた一般道と違い、高速道路は、効率的な自動車輸送を実現するため、地域の拠点を結ぶことを目的に、新しい技術を取り入れて整備されてきた。盛り土や高架、トンネルといった区間が多いなど、災害への耐性も重視してきた。

     それが、多重化されてネットワークとしての機能を持つようになり、また、暫定2車線区間が4車線化されてきたことから、高速道路は、「冗長性」と訳されているリダンダンシーの機能をかなりのレベルで発揮できるようになってきたようだ。

     今回の西日本の集中豪雨で被災した一般道や鉄道が復旧するにはまだまだ時間がかかる。国土交通省では、高速道路の暫定2車線の区間のうち、災害時に問題が起こりそうな区間を選び優先的に4車線化を進めるなど、高速道路のリダンダンシー機能強化にも重点をおいて整備を進める方針という。

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