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産業革新機構

分社化へ 迅速投資へ財務基盤強化

記者会見する産業革新機構の志賀俊之会長(左)と勝又幹英社長=東京都千代田区で2018年8月31日午後3時39分、和田憲二撮影
産業革新機構は新しい姿に

 経済産業省が所管する官民ファンド「産業革新機構」は31日、9月21日に既存の投資案件を管理する新会社「INCJ」を設立すると発表した。産業革新機構は「産業革新投資機構(JIC)」に改組し、政府の追加出資を受ける。既存の案件をINCJに一本化し、確実な投資回収を進めるのが狙い。JICは新規案件に専念する体制とし、投資の迅速化を目指す。

     INCJは、9月下旬に発足するJICの完全子会社となる。既存の投資先に対する経営支援や追加投資を継続し、投資の回収を図る。志賀俊之会長、勝又幹英社長ら現経営陣はINCJの経営陣に就いて、これまで関与してきた案件に引き続き責任を持つ。

     産業革新機構は、次世代産業の育成を狙い2009年7月に官民の出資で発足。総額約2兆円の投資能力があり、今年7月末までの9年間に計133件、総額1兆938億円の支援を決めた。今年3月末までに投資回収に至った43件では、元本3165億円の2.4倍に当たる7694億円を回収している。

     31日、東京都内で記者会見した志賀氏は「投資ファンドなので新規投資が仕事のように見えるが、イグジット(株式売却による利益の回収)も非常に重要だ」と指摘。同席した勝又氏も「我々のミッションや重要性は今後も変わらない」と述べ、国民の税金を安易に毀損(きそん)しないよう、投資先の企業価値の向上に最大限努める考えを強調した。

     一方、経産省は同日発表した19年度予算の概算要求で、JICへの追加出資分として1600億円を計上した。実現すれば13年度補正予算で200億円を追加出資して以来となる。現在3000億円の資本金を約1.5倍に拡大し、人工知能(AI)やバイオ、創薬など、リスクが高く民間だけでは行き届かない成長分野への資金供給を後押しする狙いだ。

     ただ、これまでに革新機構が投資した案件には、半導体大手「ルネサスエレクトロニクス」や液晶大手「ジャパンディスプレイ」など、経営不振企業への救済色が濃いと指摘される案件もあった。民間ファンドからは「本来であれば市場から淘汰(とうた)されるべき企業に公的資金を注入して延命させ、産業の新陳代謝を阻害している」との批判も上がる。今秋以降、新たに始動するJICは、明確な投資基準に基づき透明性の高い投資を実行できるかが問われることになる。【和田憲二】

    キーワード・産業革新投資機構(JIC)

     今年5月に成立した改正産業競争力強化法に基づき、産業革新機構が改組して新たに発足する官民ファンド。取締役会議長に坂根正弘コマツ相談役、社長に田中正明元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長を起用する。

     当初2009~24年度の15年間だった革新機構の設置期間を33年度までに延長して引き継ぐ。現在は機構が投資案件ごとに経済産業相の意見を聞いて個別企業に直接出資する例が多いが、今後は投資ファンドを通じた出資を原則とする。投資ファンドは経産相が認可し、個別の投資判断を任せることで迅速化する。他の官民ファンドにも出資でき、非効率と批判される官民ファンドを統合・再編する受け皿とする狙いもある。

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