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安倍氏の出馬ツイート波紋 引用短歌「薩摩に失礼」 鹿児島・桜島の演出、識者「無意味」

平野国臣の短歌を引いたツイート(安倍首相のツイッターアカウントより)

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     首相の安倍晋三氏が8月26日に総裁選出馬を表明した場所は、鹿児島県垂水市の漁港だった。3選への意欲を語る首相の向こうで桜島が穏やかに噴煙を上げていた。が、この「桜島の演出」に疑問の声が上がっている。【井上英介、宇多川はるか】

     安倍氏は表明に先立ち同県鹿屋市での会合で、自身のルーツが長州(山口県)であることを踏まえ「薩長で力を合わせて新たな時代を切り開いていきたい」と語った。翌27日には続投への意欲をツイッターに投稿した。

     ところが、この投稿に「意味が分からない」と波紋が広がった。こんな内容だった。

     <「我が胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山」筑前の志士、平野国臣の短歌です。大きな歴史の転換点を迎える中、日本の明日を切り拓いて参ります>。投稿に添付したPR動画も噴煙を上げる桜島が挿入されている。

     波紋を広げたのは安倍氏が引用した短歌だった。歴史に詳しい地元関係者によると国臣は福岡藩士で勤王の志士として活動。1860(万延元)年10月に薩摩藩入りし、実権を握る島津久光に倒幕を建白しようとした。だが久光に幕府を倒す考えはなく、会うこともできず工作に失敗。むなしく薩摩を去った。

     安倍氏の引用した短歌はこのときの国臣の恨み節だったとされる。「わが胸の燃えるような思いに比べれば、薩摩藩は煙のうすい桜島のように情けない」

     鹿児島県のある自治体の職員は「どんな意図で引用したのか」と困惑する。歴史に詳しい関係者も「煮え切らない薩摩をなじる歌だ。地元で失礼だと怒り出す人がいるかもしれない」と懸念している。

     ツイッターでも<薩長で新たな時代を切り開きたいと言うのに、薩摩の志の低さを嘆く歌を持ち出すとか何のギャグですか>と疑問視する投稿が相次ぐ。哲学者の内田樹さんもこの投稿をリツイートし、<スピーチライターが書いたのだろうが、それを「まずい」と言える人間がいないことの方が絶望的だ>などと論評した。

     一方、投稿に添付された安倍氏のPR動画はどうか。脚本家の小山内美江子さんは「映像の世界で長く生きてきたが、背景が桜島だと言われるまで気づかなかった。全く無意味な演出だったからだ」と語った。

     小山内さんは西郷隆盛を描く1990年のNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」の脚本を担当した。「原作者の司馬遼太郎先生は史実をよく調べ、考え抜いて書いた。それに引き換え安倍氏は桜島を背に何を伝えたいのか。大河ドラマを利用したつもりだろうが、中身がなく、ごまかしにしか見えません」

     小山内さんはさらに「フレーズが軽い。『かじ取りを担う』と言うが、どちらにかじを切るのか。『日本を取り戻す』とは、どこから何を取り戻すのか」と指摘。「対抗馬の石破茂氏も一体どんな人か伝わってこない。メディアはしっかり伝えなければならない。徹底的に政策論争し、2人の考えを世間に知らしめるべきだ」と注文を付けた。

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