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太平洋戦争

空襲時の避難要項見つかる 市民に公開されず

神戸大空襲(1945年)の前年に作られた兵庫県の避難実施要綱=国立国会図書館所蔵
米国戦略爆撃調査団の空襲に関する調査をまとめた報告書。神戸の被害も詳細に記されている=国立国会図書館所蔵
神戸親和女子大の洲脇一郎教授=神戸市北区で2018年8月14日、目野創撮影

 太平洋戦争末期、空襲に備えて県が市民の避難実施要綱を作っていたことが神戸親和女子大の洲脇(すわき)一郎教授(69)=神戸市東灘区=の研究で分かった。7000人以上が犠牲になったとされる神戸大空襲(1945年)の前年に作られたが市民には公開されず、被害を最小限にとどめる役割を果たせなかった実態が読み取れる。【目野創】

     要綱は、神戸などの空襲被害について調べていた米国戦略爆撃調査団が収集した文書の中に「極秘 昭和十九年四月 罹災者避難実施要綱 兵庫県」というタイトルで残っていた。洲脇教授が国立国会図書館に保存されている記録を発見した。神戸、尼崎、西宮の3市について「(神戸市中心部の)湊区及び湊東区は武庫郡山田村(現神戸市北区)」など住居を失った人たちの収容先を記載。また「警察署長ハ罹災者ノ避難実施ヲ指揮統制スルモノトス」「市町村長ハ避難者ノ収容其ノ他応急ノ救助ニ当ルモノトス」などと各機関の役割についても定めている。

     「極秘」の表題通り市民に非公開だったとみられるが、その理由について洲脇教授は「民衆の不安をあおりたくないという意図があったのかもしれない」と推測。調査団が作成した空襲被害の報告書では「民間人、兵士、船員、警察官、消防士は身を守るために丘に避難した」との消防署長の証言も記されている。要綱通りの避難誘導は難しかった状況もうかがえるが、「市民に事前に避難先を周知していたら、ある程度死者は減っていたかもしれない」と分析する。

     元神戸市職員の洲脇教授は退職後の2009年から同大で教育行政学を専門に教べんを執る一方、国会図書館や市内外の学校に出向き、神戸空襲時の市民の生活や子どもたちの疎開の実態を研究してきた。「空襲の要綱も、行政側に最悪の事態を考える想像力があったら実効性があるものになった。その教訓は現代でも大災害時の避難に生かせるはずだ」と話している。

     洲脇教授の研究は論文集「空襲・疎開・動員 戦時・戦後の神戸の社会と教育」(みるめ書房、A5判284ページ、3996円)で紹介されている。

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