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ミャンマー

ロヒンギャの地に仏教徒 移住、促す

 【ニューデリー松井聡】仏教徒が多数派のミャンマーに隣国バングラデシュから仏教徒が移住するケースが続いている。移住先はミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが集住する西部ラカイン州で、ミャンマー側は土地や家畜を無償提供しているという。仏教徒人口を増やすだけでなく、ロヒンギャ問題を巡り対立するバングラについて「仏教徒を差別している」と批判する狙いもあるようだ。

     事情に詳しいバングラの大学准教授によると、ミャンマーに移住しているのは国境を接するバングラのチッタゴン丘陵地帯に住むマルマ▽ムロ▽ラカイン--などの仏教徒の少数民族。複数の住民によると、ミャンマーに既に移り住んだ親戚や知人を通じて、移住の勧誘があるという。

     ミャンマーでは昨年8月、治安部隊とロヒンギャの武装集団が衝突し、約70万人のロヒンギャが難民となる人道危機が発生。ラカイン族の男性(49)は「昨年8月以降、ミャンマーに移り住んだ友人からの誘いがより熱心になった」と説明する。この男性によると、今年に入って移住した複数の知人らには、バングラに逃れたロヒンギャがかつて暮らしていた村周辺の土地が提供されたという。

     AFP通信がバングラ政府当局者などの話として伝えたところでは、移住した仏教徒は過去3年間で100家族以上、今年3月だけで22家族が移住した。

     ミャンマーと異なり、バングラではイスラム教徒が多数派で、仏教徒は少数派だ。ラカイン族の別の男性(54)は「バングラでは仏教徒は差別され、貧しい暮らしを送っている。ミャンマーでも少数民族は差別される傾向にあるが、バングラの状況よりは良いと感じている仏教徒も多い」と現状を語る。

     また、バングラ政府当局者はAFP通信に「ミャンマー側は、バングラで仏教徒が抑圧され、ミャンマーに逃げているというニュースを作りたいのだろう」との見方を示した。

     一方で准教授によると、バングラからミャンマーへの仏教徒移住は以前からあり、約15年前にはラカイン族の僧侶が主導し、ラカイン州マウンドー周辺に移住者を受け入れるための25の村が作られた。マウンドーは当時、人口約40万人のうち9割近くをロヒンギャが占めていた。土地や家畜が無償で提供されたこともあって、数年間でバングラ側から約2500世帯の仏教徒が移り住んだ。

     准教授は「(移住を主導した)僧侶はミャンマー軍と密接な関係を持っており、村も軍の意向で作られた」と説明。「ミャンマー軍は昔も今も、ロヒンギャが集住するラカイン州で少しでも仏教徒の人口を増やそうとしている」と指摘する。

     バングラの少数民族問題に詳しい東京外国語大講師の日下部尚徳氏は「バングラでは仏教徒が(襲撃や)誘拐などの被害に遭う事件が度々起きている。移住は仏教徒の(迫害への)危機感と、ミャンマー側の思惑が一致した結果で、今後も当面続くだろう」と話す。

    チッタゴン丘陵地帯

     仏教徒が大半の少数民族と、イスラム教徒のベンガル人計約150万人が暮らす。ベンガル人は元々、少数だったが、1979年以降、バングラデシュ政府がベンガル人入植による同化政策を進め、現在は仏教徒とベンガル人の人口構成はほぼ同じ。97年、25年以上続いた少数民族の武装組織と政府軍との紛争は終結したが、現在も土地などを巡って衝突が起きている。

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