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岐阜5人死亡

管理態勢に甘さ 厚労省も職員派遣

 岐阜市のY&M藤掛第一病院に入院していた80代の患者5人が熱中症の疑いで相次ぎ死亡した問題は、最初の患者が死亡してから2日で1週間。エアコンの定期点検をしていないなど、病院の施設管理や危機管理の甘さも指摘されている。事態を重く見た厚生労働省は職員を現地派遣し、岐阜市や岐阜県も病院を立ち入り検査している。【道永竜命、三上剛輝】

 病室の空調設備や温度などを定めた法令はない。医療法やその施行規則は病室の広さなどを規定するが、温度や湿度の基準はなく、そもそもエアコンの設置規定がない。学校や百貨店、博物館など多くの人が利用する「特定建築物」は、建築物衛生法で室温基準が17度以上28度以下と定められているが、病院は身体的弱者が利用する特殊な施設などとして対象外になっている。

 今夏の記録的猛暑を受け、厚労省は定例の5月に加え7月にも、都道府県を通じて医療機関などに熱中症予防を呼びかける通達を出した。加藤勝信厚労相は8月31日の閣議後記者会見で、情報収集するため30日に職員を派遣したと明かした。ただ、「(指導などは)一義的には市や県が対応する」と説明した。

 岐阜県は、適切な温度管理を求める通達を出す方向で検討を始めた。しかし、医療整備課の担当者は「病院はいろいろな患者がおり県レベルで適温が何度と示すのは難しい。何を根拠に指導するか悩んでいる」と話す。

 県は31日、フロン排出抑制法に基づき立ち入り検査した。室外機にフロンを使う業務用で法対象となるエアコン11台の定期点検の実施状況を調べている。いずれも設置から約15年が経過しているといい、法令違反があれば指導する方針。岐阜市の立ち入り検査で病院側は「故障する度、業者に修理を依頼していた」と定期点検をしていなかったと認めた。

 病院は療養病床がある内科病院で、介助が必要な高齢者の治療を専門としている。

 この問題では、病院の3、4階のエアコンが20日に故障し、病院側は9台の扇風機を患者のいる部屋に1台ずつ置いた。26日午後8時40分~27日午前11時37分の間に、3、4階にいた83~85歳の男女4人が死亡した。24日に入院して3階にいた84歳男性は、27日にエアコンの利く2階に移ったが、28日午後6時38分に死亡した。

 司法解剖の結果、5人はいずれも病死の可能性が高いとされ、一部の患者は熱中症の所見が出されたという。岐阜県警は業務上過失致死容疑を視野に、エアコンの故障や病院側の対応と患者の死亡との因果関係について捜査を進めている。

「前兆、巡回で把握できたはず」

 療養病床を持つ他の民間病院からは今回の病院の対応を疑問視する声が相次いでいる。

 津市の病院は室温を事務所などで一括管理し、患者の要望で上げ下げしている。事務長は「何度(が適切)というものはない。エアコンが故障しても患者の状態を細かく見て、異変に気付いたら素早く病室の移動や転院をすべきだ」と話す。

 神奈川県の病院は各部屋の温度や湿度を看護師が記録している。担当者は「仮に熱中症で死んだなら何か前兆があったはず」と指摘する。浜松市の病院理事長も「そもそも室温より、巡回で体調や病状を把握できる。体調管理の意識が薄くなっていた可能性もあるのでは」と語った。

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