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シリア

「化学兵器」再び懸念 反体制派拠点を近く攻撃か

シリア・イドリブ県

 【カイロ篠田航一】2011年から内戦が続くシリアで、反体制派に残された最後の重要拠点・北西部イドリブ県に対するアサド政権の総攻撃が近いとの観測が強まっている。政権軍がイドリブ県を制圧した場合、内戦における政権側の勝利が事実上固まる。政権軍はこれまで反体制派の支配地域を攻撃する際、多数の死者を出す化学兵器を使用した疑いが度々浮上していることから、反体制派からは「再び虐殺が起きる」との懸念も出ている。

     「国際社会はアサド政権に厳しい姿勢を見せるという『ショー』を演じてきただけで、実際は政権軍の蛮行を黙認してきた。イドリブでもまた虐殺が起きるのではないか」。今年4月に政権軍に制圧された首都ダマスカス近郊・東グータ地区に住む反体制派の男性は毎日新聞にそう語る。

     ロシアやイランの支援を受けるアサド政権軍は16年以降、北部アレッポや東グータ地区など反体制派勢力の拠点を次々に制圧。内戦の優位を決定付けた。反体制派の支配地域への攻撃の際には、政権軍による化学兵器の使用疑惑も浮上。イドリブ県では17年4月、猛毒神経ガスのサリンが投下された疑いが指摘され、今年4月には東グータ地区で塩素ガスによるとみられる攻撃も起きた。東グータの使用疑惑後、米英仏3カ国はアサド政権軍の兵器施設にミサイルを撃ち込んだが、「懲罰」の意味合いが強い限定攻撃にとどまったため、その後もアサド政権の優位は揺るがなかった。

     ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は8月22日、「アサド政権が再び化学兵器を使うことを懸念している。もし使えば、極めて強力に対処する」と警告した。これに対しロシア国防省は「化学兵器使用を計画しているのは反体制派の方だ」との声明を出し、アサド政権を擁護している。

     国連人道問題調整事務所(OCHA)は8月29日、イドリブ県への攻撃が始まれば「最大80万人が避難民となる」と警告し、大規模な人道危機の発生に懸念を示した。

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