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混合名簿

宮崎の小中学校で急増 地域に戸惑いも

夏休み前の全校集会で体育館に整列した宮崎市立小戸小の児童。混合名簿を導入したが、整列は中学年が男女混合、高学年は男女別だった=2018年7月20日午前10時31分、塩月由香撮影

 男女平等の観点から学級の出席名簿を男女の区別なく50音順に並べる「混合名簿」は、堺市が全市立小中学校で実施して今年で25年になる。大都市で広がった混合名簿は、九州・山口では自治体によって調査時期がまちまちだが、実施率にばらつきがみられる。昨年度まで公立小中学校の1割しか採用していなかった宮崎県では、母親たちの訴えを機に今年度は5割以上に急増した。ただ、長く慣例として続いた制度変更には困惑の声も漏れる。【塩月由香】

 「これまで『男のくせに』『女のくせに』と言われたことはないですか」。今年4月6日、宮崎市立小戸(おど)小学校の始業式。山口邦子教諭(53)が問いかけると、数人が手を挙げた。山口教諭は「これから男女一緒の名簿を使います。楽しい学校にしていきましょう」と呼び掛けた。

 それから4カ月が過ぎた。山口教諭は「子どもたちに混乱は起きていない」と話すが、地域には波紋が広がったようだ。千田洋一郎校長(59)は「地域住民から『我々の時代は何も問題にならなかった』『世論に同調し過ぎではないか』などの声が上がり、ギャップを感じた」と話す。

 これまで運動会の入場行進や綱引き、リレーを男女別にしてきた9月の運動会については夏休み中に教職員で協議。行進を男女別、綱引きとリレーを混合にすることにした。「地域住民の方にいかに理解をしてもらうかは大切。学校と地域の溝ができないよう、十分に説明したい」

 混合名簿は1999年の男女共同参画社会基本法成立を機に広がり、性同一性障害の児童生徒への配慮を求めた2015年の文部科学省通知も後を押したといわれる。

 「昔ながらの伝統」(宮崎県教委)で男女別が多かった宮崎で変化を促したのは、混合名簿が普及した他県から転入してきた母親たちだ。

 「子どもを性別で分けず一人一人の個性を尊重してほしい」。昨年7月から5カ月間で混合名簿導入を求める署名約1万人分を集め、県教委に提出。県教育長が校長会で「混合名簿が望ましい」と発言し、流れができた。17年度は公立小235校中27校、公立中126校中9校にとどまっていた混合名簿実施校は18年度、小学校146校、中学校51校に急増した。

実施率 九州に地域差

 混合名簿について、文部科学省は「各学校の判断」としており、全国の実施状況を把握していない。九州・山口の各県・政令指定都市教育委員会に毎日新聞が公立校の実施率をアンケートしたところ、小学校の実施率が90%を超えていたのは、山口▽福岡▽熊本--3県と、福岡▽北九州▽熊本--3政令市。大分県は最近の小中学校のデータが残っていないが、2003年度は約95%としている。

 小学校から高校までほぼ100%の山口県教委は「個性と能力を十分に発揮できる教育の充実」を目的に02年以降、実施率100%の数値目標を掲げ続けて普及したという。

 佐賀県教委は性的少数者の人権など社会情勢の変化に伴い、今年初めて実施率を調査した。実施率が低かった鹿児島県教委は12年度の調査を最後に調べていない。「名簿は学校や児童の実態に応じて校長が判断するもの」としている。

 ジェンダー論に詳しい千葉大教育学部の片岡洋子教授(人権教育)は「堺市の実施から四半世紀もたつのに九州で地域差があるとは知らなかった。男女平等や性的少数者への配慮といった意味でも各学校は混合名簿を導入すべきだ」と話している。【塩月由香】

■九州・山口の混合名簿実施率■

      公立小    公立中    公立高

福岡県  96.49% 96.05% 33.04%

佐賀県  45.34% 13.26%      -

長崎県  77.40% 60.91% 10.44%

熊本県  96.77% 50.41%      -

大分県 (詳細なデータ残らず)      100%

宮崎県  62.12% 40.47% 61.53%

鹿児島県 23.30% 15.60% 47.50%

沖縄県  47.92% 31.46% 40.00%

山口県  99.65%   100%   100%

北九州市 96.21% 12.90%      -

福岡市    100% 85.50% 25.00%

熊本市    100%   100%     0%

※調査時期は各教委で2012年~2018年6

月の間で異なる。「-」は調査せず

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