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ならまち暮らし

古事記を歩く血原=寮美千子 /奈良

 12年前、奈良に越してきて驚いたのが、町の人が神武天皇を「神武さん」と親類のおじさんのように親しげに呼び、古事記に出てくる地名が数多く残っていることだった。気になっていた地名のひとつが「血原」だ。古事記には、こんな物語がある。

 熊野に上陸した神武が、八咫烏(やたがらす)の案内で道なき道を踏み分けて紀伊山地を抜け、出てきたところが宇陀。その土地の豪族が兄宇迦斯(えうかし)と弟宇迦斯(おとうかし)の兄弟だった。神武は八咫烏を使いに出し、兄弟に「仕えるか」と尋ねた。

 兄は徹底抗戦しようと思ったが、思うように兵が集まらない。そこで、大きな屋敷を作って罠(わな)を仕掛…

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