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自民党総裁選

親トランプ外交 通商、対中国で揺らぎも

ゴルフ場内をカートで移動しながら会話する安倍晋三首相(中央)とドナルド・トランプ米大統領(右)=米フロリダ州で4月(内閣広報室提供)

 8月22日夜に首相公邸で行われた日米電話協議。終了後、安倍晋三首相(63)は「あの歴史的な米朝首脳会談(6月12日)から2カ月が経過した。最新の情勢分析を行い、今後の北朝鮮に対する方針について綿密な打ち合わせを行った」と簡潔に説明した。政府関係者によると実際の協議は「北朝鮮政策でトランプ米大統領から『ある提案』があり、首相の意見を聞くのが目的だった」といい、濃密なやり取りがあったとみられる。

     2017年1月にトランプ氏が大統領に就任してまもなく北朝鮮情勢が緊迫。首相は頻繁にトランプ氏と北朝鮮情勢について意見を交わしてきた。緊密に連携して日米同盟が強固であることを内外に示し、危機を乗り切ってきた。こうした姿勢に対しては「米国の軍事力に頼る以外に方法はない」と擁護する声がある一方で「対米追随が過ぎる」との批判も出た。

     ただ、米朝首脳会談後、朝鮮半島の緊張が緩んでからは、日米間の政策上の違いが目立つようになっている。トランプ氏は対中貿易赤字を減らすために中国からの輸入品への関税を引き上げ、中国も米国に報復。安倍政権は自由貿易体制を守る姿勢を鮮明にしており、米国の保護主義的な政策と一線を画している。トランプ政権は日本製自動車への高関税適用も検討しており、日米同盟が通商政策から揺らぐ可能性が否定できない。

     首相が重視してきた「価値観外交」も揺らぐ。首相は日米同盟を「法の支配、人権、自由を尊ぶ価値観を共にする結びつき」(15年4月の米議会演説)だと訴えてきた。だが、時に法を軽視するような発言をし、人種差別団体への批判をためらい物議を醸したトランプ氏の政権と価値観を共有しているかについては疑問符が付いている。

     トランプ氏は中国への圧力を強めるが、首相は自民党総裁選で勝利した場合、10月に訪中し日中関係を正常軌道に乗せることを狙っている。首相は中国の東・南シナ海での海洋進出を厳しく批判してきた。沖縄県・尖閣諸島周辺海域での中国公船の領海侵犯がなくなる見通しは立たないが、世界的課題について中国首脳と協議ができない状況が外交上の足かせになり、対中関係の改善に動いた。

     日米関係も日中関係も難しいかじ取りを求められる局面に入るが、米中とどう向き合うかについての青写真は描けておらず、手探りの外交が続く。

     また、首相は第2次内閣以降、積極的平和主義に基づく「地球儀を俯瞰する外交」を掲げてきたが、自衛隊の国連平和維持活動(PKO)への部隊派遣は17年に撤収した南スーダン派遣で止まったままだ。最重要課題の日本人拉致問題も解決のめどは立っておらず、北方領土問題もロシア軍が北方領土での活動を活発化し、解決は遠のいていると指摘される。

     自民党総裁選に出馬する石破茂元幹事長(61)も公約では「国際情勢の変化に対応した外交・安全保障の確立」を掲げるにとどまり、新しい外交ビジョンを示せていない。【小山由宇】

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