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北海道震度6強

住宅襲う土砂 厚真、重機で救出活動

土砂崩れがあった民家の捜索をする消防隊員ら=北海道厚真町で2018年9月6日午前7時29分、竹内幹撮影

 北海道を未曽有の大地震が襲った。全道が停電し、胆振地方を中心に道路や水道などライフラインが断絶して都市機能がまひした。厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、多数の住民と連絡が取れなくなっている。震度6強という経験のない揺れに見舞われた道内は全域で混乱に陥った。

     震源に近い厚真町では、山の斜面が広範囲に崩れて山肌がむき出しになっていた。各所で住宅などの建物が崩れた土砂や樹木に押しつぶされるように倒壊し、道路や田畑はがれきまじりの土砂で覆われた。倒壊した住宅には自衛隊員、消防隊員らが駆けつけ、重機を使って室内に閉じ込められたとみられる人の救出活動にあたった。

     吉野地区の南側の桜丘地区に住む無職の男性(68)は、自宅で就寝中、揺れを感じて跳び起きた。今まで経験したことのないような横揺れで、収まるまで妻と柱にしがみついているのが精いっぱいだった。停電で周りも真っ暗だったため、自家用車に避難。明るくなってから町内の避難所に移動したが、近くでは裏山が崩れて住宅が倒壊しているのを目の当たりにしたという。男性は「裏山が危険とは考えていなかった。こんなことは信じられない」と声を震わせた。

     同町によると、富里、高丘、吉野の各地区が壊滅的被害を受けているといい、住民の救助活動を最優先して実施している。富里地区には30世帯74人、高丘地区は15世帯43人、吉野地区16世帯34人が居住しており、道警ヘリで吉野地区の住人12人を救助した。町内11カ所に避難所を開設し、同町京町の町総合福祉センターには、午前10時半現在で約120人が避難している。宮坂尚市朗町長は「今まで経験のない鬼気迫るような揺れだった。関係機関の協力を得て、一刻も早く住民の救出にあたりたい」と話した。

     厚真町の西隣の安平(あびら)町も、震度6強の揺れに見舞われた。

     同町追分柏が丘のアルバイト、田中海斗さん(27)は自宅2階で就寝中、激しい縦揺れに襲われた。本棚やテレビを手で押さえたが、1、2分程度続く揺れに耐えられず1階に下りた。屋外に出てみると、自宅の外壁がはがれ、地割れも数カ所見つけた。共に暮らす母親にもけがはなかったが、停電や断水が続いているといい「自宅にいるのも不安なので、次に大きな余震が来たらすぐに近くの小学校に避難しようと思う」と話した。

     町によると、町内では40代の女性が階段から落ちてけがをしたほか、60代の女性2人が顔にけがをして、病院に搬送された。厚真町まで結ぶ道路は土砂崩れで寸断。小・中・高校が臨時休校になり、子ども園では、停電や断水などで支障をきたしている家庭にいる幼児の受け入れ準備を進めている。

     及川秀一郎町長は「6強は初めて。対応は長期戦になる。コンビニエンスストアなどから避難物資の提供を受け、組織的に対応したい」と語った。【澤俊太郎、福島英博、服部陽】

    道路が亀裂し、押し寄せた泥に覆われた住宅地=札幌市清田区里塚で2018年9月6日午前9時52分、土谷純一撮影

    信号消え、地下鉄まひ

     196万人が暮らす札幌市では、停電により市民生活に大きな影響が出た。信号が消えた交差点では警察官らが交通整理に追われ、車は速度を落として慎重に走っていた。鉄道もストップし、歩いて職場などへ向かう人の姿が多く見られた。

     札幌市北区の銀行員、田中奈穂美さん(25)は「6時ごろ会社から早めに来てくれと連絡があり、自宅から歩いて来たが信号が動いていなくて怖かった」と話した。JR札幌駅では電光掲示が消え、周辺には大きなバッグを持った観光客らが集まり、駅員が対応に追われていた。

     大学のゼミ旅行で3日から道内を訪れていた大阪府の近畿大生、守屋佳輝さん(21)は「2泊3日の予定だったが、台風で関西空港が閉鎖になり、急きょ帰りの便を変更した。泊まる所を探しているが見つからず待機しているしかない」と戸惑った様子。札幌駅北口のホテルの従業員は「停電でシステムも動かず予約は受けられない状態。かなり混乱している」と慌てていた。

     札幌市営地下鉄も運転を見合わせた。同市東区の男性会社員(35)は「地下鉄が止まっていて30分以上歩いて来た。社員に連絡する必要があるがメールが使えるか分からない」と疲れた表情だった。

     電気が止まり、市民らは不安な朝を迎えた。札幌市中央区の主婦(35)は朝食の支度ができず、午前6時ごろ食料を調達しようとコンビニエンスストアを何軒か回ったが、全て売り切れていた。「信号機も消えていて怖かった。携帯電話のポータブル充電器も使い切った。電話の充電が切れたら情報を得る手段がなくなる」と不安そうに語った。

     札幌市豊平区のヤマダ電機札幌月寒店では生活用品などを買い求める人の行列ができた。電池やスマホ用のモバイルバッテリー、携帯ラジオ、紙オムツなどを買う客が多く、同区平岸の川村裕子さん(41)は「電池と水だけでも確保できるようなので良かった」とほっとしていた。

     札幌市清田区里塚の住宅街では民家の敷地や道路が帯状に陥没。道路に大きな亀裂が入って傾いた建物が多数あった。里塚中央町内会役員の館山利夫さん(69)によると、現場は以前沢があり、埋め立てた地域だという。

     付近では液状化も発生し、道路が泥に覆われた。里塚1の2では道路が数十センチの高さまで泥に覆われ、車のタイヤや倒れた自転車が埋まった。近くに住む本間勇男(いさお)さん(74)は「地震が起きてすぐ外に出たら、坂の上からすごい勢いで泥が流れてきた」と語った。

     清田区の運送会社では、地面から噴き出した土砂で航空貨物のコンテナ3個などが約150メートル流された。午前5時ごろに到着した男性社員(49)は「事務所の中には入れたが、土砂でふさがれてシャッターが開けられない」と驚いていた。

     一方、全便が欠航となった千歳市の新千歳空港はターミナルビルの大半が閉鎖され、待機する人のために1階到着ロビーの一部を開放して対応した。

     夫婦で北海道を訪れていた群馬県高崎市の会社員、相馬真吾さん(42)は札幌市から乗り合いタクシーで空港に着いた。「札幌のホテルの9階に泊まっていたが、崩れそうなほど揺れた。とても怖かった。成田経由で帰るつもりだったが、電車が動かずホテルの予約も取れない。ここで電気が復旧するのを待つしかない」と疲労感をにじませた。

     道内では、工場の操業停止や店舗の臨時休業など企業活動にも影響が広がっている。トヨタ自動車は自動車部品を製造する子会社(苫小牧市)の操業を中止し、王子ホールディングスや日本製紙の工場や事業所も操業を停止。三菱製鋼室蘭特殊鋼(室蘭市)の工場では一時小規模な火災が発生し、稼働を停止した。

     ローソンは道内の半数弱に当たる300店舗超で休業。日本郵便は北海道宛ての「ゆうパック」の引き受けを停止した。【土谷純一、阿部義正、横山三加子】

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