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高齢社会

信託商品、認知症に備え 額や使途で解約制限

 高齢社会を迎え、大手信託銀行が認知症などで高齢者の判断力が低下した場合に備える信託商品やサービスを相次いで投入している。振り込め詐欺などから資産を守ったり、本人に代わって、あらかじめ決めた目的に支出したりするのが主な内容で、お金の管理に不安を感じる高齢者の利用が増えている。

     認知症に関連した信託商品としては、これまでも「後見制度支援信託」がある。認知症が進行して後見人を付ける際に、家庭裁判所を通じて信託銀行が財産を引き受ける仕組みで、今年3月末現在の利用件数は業界全体で2万927件と3年前の4倍に急増した。ただし、お金を引き出す際に裁判所の許可が必要となるなど機能が「財産の保全」に偏り、本人の意向を反映しにくい難点があった。

     これに対し、みずほ信託銀行が昨年8月に販売を開始した「選べる安心信託」は裁判所の許可は不要だが、本人でも解約して簡単にお金を引き出すことができない「解約制限機能」を付けたことが特徴だ。定期的に定額を自分で受け取ったり、子や孫に贈与したりすることはできるが、解約してお金を引き出すには事前に登録した3親等以内の親族が代理人となって同意することが必要。認知症への不安を抱える高齢者に人気があり、1年間の申し込みが750件を超え、うち200件以上でこの解約制限付きが選ばれたという。

     三井住友信託銀行や三菱UFJ信託銀行も、使途を老人ホームなど介護施設の入所費用や医療費などに限定した解約制限付き商品を2015年以降、発売した。三菱UFJ信託の担当者は「『認知症への備え』という内容なので積極的に顧客に勧めにくいが、1人暮らしの高齢者らに一定のニーズがある」といい、契約件数は増加しているという。

     三井住友信託銀行は今年3月、東京都八王子市の病院と連携し、入院やリハビリ費用を患者本人や家族が介在せず、銀行が病院に直接支払うサービスも始めた。従来の信託商品では、代理人が患者本人の口座からお金を引き出して支払う必要があったが、大幅に手間が省ける。同行の担当者は「高齢者の資産を守る『金庫』の役割だけでなく、使う幅を広げられるよう(支払先となる介護施設など)提携先を広げていきたい」と話す。

     みずほ情報総研の推計によると、認知症の患者が保有する金融資産は約50兆円に上っており、保全とともに、どう本人のために有効に使うかも課題だ。小松紗代子コンサルタントは「健康なうちに、資産の安全な管理や使途を決めておくことは有効だ。信託の活用はその選択肢になる」と話している。【深津誠】

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