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北海道震度7

どうか助けて、一念 停電、寄り添い一夜(その2止) 商店街で、駅構内で…

JR札幌駅で一夜を明かす家族連れ。近所の避難所がいっぱいで昨日午後7時からここで過ごした=札幌市で7日午前6時10分、貝塚太一撮影
新千歳空港行きのバス乗り場で早朝から長蛇の列をつくる人たち=札幌市中央区で7日午前6時38分、貝塚太一撮影

避難所満杯、ベンチに

 6日未明の強い地震で、全域が停電に見舞われた北海道。7日午前6時までに約4割が復旧したものの、札幌などいつもは多くの人でにぎわう市街地の住民らも、6日から7日にかけて明かりのない一晩を過ごした。

     札幌市中央区の歓楽街・ススキノ近くにある市立資生館小学校は避難所となったが、入りきれずに校舎入り口のベンチに横たわっている人もいた。近所の垣田礼子さん(69)は「自家発電装置もなく真っ暗とは……。市の防災対策は情けない。ぜんそくが悪化しそうで心配だ」と憤った。

     夜遅くまで多くの人が行き交う同区の狸(たぬき)小路商店街。ネオンが消えた一角で、飲食店の関係者が炊き出しをしていた。カニ汁を通行人にふるまっていた店員の男性は「冷蔵庫が動かないので、食材が食べられなくなる前に配ろうと思った」。香りに誘われて行列ができ、出張で大阪から来ていた会社員、秦拓己さん(21)は「温かいものが食べられるのは本当に助かります」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

     JR札幌駅周辺も停電している地域が多く、通常は深夜に閉鎖される構内が開放された。トイレや公衆電話が使えることから、ここで一夜を明かす人も目立った。同市北区の大学4年、藤本沙優さん(23)は「停電していて怖いので友人と来た。ここなら明るくて安心できる」と話した。【源馬のぞみ、土谷純一】

    電気がなくなれば普通の営みは失われる

     街は穏やかだった。信号が消えていても、渋滞もない。崩れた家も見当たらない。でも、どこか落ち着かない--。私は6日、東京から空路で被災地に向かった。北海道はかつて3年間勤務した地。札幌市内でレンタカーを確保した午後5時過ぎ、胆振(いぶり)地方を目指して国道36号を南下した。札幌ドームの銀色の屋根に夕日が傾きかける。道内全域の約295万戸が停電した6日未明の大地震。初めての夜が迫っていた。

     「食料や衣料品は事前に十分用意して行くように」。上司の指示で、東京都内である程度は買いそろえた。「札幌でも追加調達できるだろう」。そう思いながら6日午後、同僚記者と2人で帯広空港(北海道帯広市)に入った。

     何度も走った国道36号は、いつもと変わらないように見えた。甘かった。国道沿いのコンビニエンスストア、ホームセンター、衣料品店、スーパー……。豊平区、北広島市、恵庭市、千歳市、苫小牧市と、南下するたびによく見る看板が目に入ったが、営業店が見当たらない。現金を下ろそうにも、コンビニが開いていない。そもそもATM(現金自動受払機)が、停電で動かないだろう。

     新千歳空港を過ぎる頃に日が暮れ、ウトナイ湖の近くで暗闇に包まれた。いつもは等間隔で原野を照らす街灯も消えている。2時間ほど走って、苫小牧市の中心部にたどり着いた。かろうじて営業しているガソリンスタンドの前で、車列が2キロ近く伸びていた。東日本大震災で、発生直後の福島県の被災地に入ったことを思い出した。7年前の3月11日のように寒い日だったら……。北海道の冬の厳しさを考えると、空恐ろしくなった。

     「夕方ごろに電気がつきました」。苫小牧市郊外の宿泊先に着くと、市内に住む男性従業員(45)が教えてくれた。「でも自宅はまだ停電です。いつまでこういう生活が続くのか」。男性からため息が漏れた。

     たとえ街が壊滅的な被害を受けなくても、電気がなくなれば普通の営みはあっという間に失われる。そんなもろい基盤の上で私たちは生きている。電灯の下で、思いを新たにした。【伊藤直孝】

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