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テレビドラマ

生活保護の現場描く 「多様な課題が凝縮」

柏木ハルコさん自画像(本人提供)
ドラマ化された「健康で文化的な最低限度の生活」の原作漫画を手に、生活保護の問題点などを語る柏木さん=東京都内で2018年8月29日午後0時11分、斎藤文太郎撮影

「健康で文化的な最低限度の生活」原作者インタビュー

 生活保護の現場を描いたテレビドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(フジテレビ系列、火曜午後9時)の原作となっている同名の漫画の作者で千葉県柏市出身の柏木ハルコさんが8日、千葉市で講演する。憲法25条の条文からタイトルを取り、自殺に至る生活保護受給者やアルコール依存症患者、父親から性的虐待を受けていた青年などさまざまな問題を抱える登場人物に新人ケースワーカーが接して奮闘する物語。柏木さんに作品に込めた思いや生活保護の問題点などを聞いた。【斎藤文太郎】

     --作品のテーマを生活保護にしたきっかけは何でしょう。

     東日本大震災を機に社会問題を取り上げようと思い、多様な課題が凝縮している生活保護の現場を題材に選びました。高齢者、障害者、母子家庭……。課題を抱えたあらゆる人を描けると考えたのが理由です。

     --取材はどのように進めましたか。

     人づてにケースワーカーを紹介してもらうなどして、生活保護受給者からも話を聞きました。アルコール依存症患者の自助グループにも参加しました。連載開始前に約2年間取材し、実際に見聞きした話を組み合わせて描いています。

     --取材を通じて感じたことは。

     想像を超えた人生を歩んでいる人がたくさんいました。例えば、他人からは思いつかないような親子関係で、扶養できるかどうかの照会をすべきではない人もいます。周囲から分からない病気の人だと、「なぜ働かないのか」と言われてしまうこともあります。生活保護に至る理由は人それぞれで、単純なケースはほとんどありません。

     --現在の生活保護の制度の課題は。

     生活保護は世帯単位での支給が原則ですが、例えば家族内に支給額を使い込む人がいれば、他の家族は本当に困窮してしまいます。新人職員がいきなりケースワーカーになるのも課題。ケースワーカーが聞く耳を持たなければ、相談者は「話しても無駄だ」と思ってしまいます。学力が低かったり借金があったりと、言いにくい事情を多数抱えている相談者もいます。それらを打ち明けるのは好きな人に告白する以上に難しい。時間をかけて信頼関係を築くべきですが、現場の慢性的な人員不足も問題です。

     --読者からの反響はどうでしたか。

     当初は読者からどのような反応が来るか分からず不安でしたが、思った以上に真摯(しんし)に受け止めてもらっています。漫画を読んでケースワーカーを目指そうと思ってくれた学生もいます。受給者からは「自分はもっと大変な状況だ。取り上げてほしい」と言われることも。便箋に文字がびっしりとつづられた手紙をもらったり、同じ人から何度も「つらい状況だ」という訴えを聞いたりすることもあり、思いの強さを感じました。

     --描くうえで気を付けていることは。

     生活保護の現場は本当に複雑な問題が絡み合っており、極力ありのままの複雑さを描くようにしています。問題が多すぎて絶望的だな、という人もいますが、主観を排して現実をありのままに伝えることに力を注いでいます。

    「子供の見えない貧困」テーマ、8日にシンポ

     柏木さんが講演するシンポジウムは、「子供の見えない貧困」をテーマに8日午後1時から千葉市中央区の県弁護士会館で開かれる。

     講演は、県弁護士会所属で社会福祉士の資格も持つ安井飛鳥弁護士との対談形式で行われる。柏木さんは取材を通じて見たケースワーカーの働き方の実情や生活保護受給者の中にさまざまな人がいることについて語る。

     講演に続き、県内在住の生活保護受給者も登壇して生活の状況などを紹介。柏木さんと貧困問題に取り組む弁護士、生活困窮者支援団体のメンバーらによるパネルディスカッションも行われる。

     日弁連が毎年開催する人権大会のプレシンポジウムという位置づけで、県弁護士会の主催。入場無料。参加者は直接会場へ。問い合わせは同弁護士会(043・227・8431)。

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