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岡山・真備

豪雨被災民家から玉蘊の屏風 博物館に寄贈

寄贈した「市井風俗図屏風」を前にする若林泰典さん、久仁子さん夫妻=広島県福山市西町2の広島県立歴史博物館で2018年9月6日午前11時7分、松井勇人撮影

 西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市の真備(まび)町地区で被災した民家から、江戸時代の屏風(びょうぶ)が見つかった。江戸後期の画家、平田玉蘊(ぎょくおん)(1787~1855年)の作と判明し、広島県立歴史博物館(福山市)に寄贈された。博物館は6日、感謝状を贈り「個人所有の文化財が災害をきっかけに散逸、処分されることが想像以上に多い恐れがある。屏風が今後も活用できることは奇跡的だ」と喜んだ。

 寄贈したのは倉敷市真備町有井で被災した若林泰典さん(68)と妻の久仁子さん(67)。木造2階建ての自宅は1.30メートルの高さまで水没し、大規模半壊で建て替えを余儀なくされた。取り壊しを前に、浸水を免れた2階の家財を整理していて、大きな木箱に収められた屏風を見つけたという。「分かる人に見てもらったほうがいい」と人づてに相談を受けた同県笠岡市の古美術商、豊池勇さん(69)が、屏風に玉蘊の名が入っているのを確認し、2015年に玉蘊の企画展を開催した博物館に真贋(しんがん)の確認を打診した。

 玉蘊は備後国尾道(現広島県尾道市)を拠点に活躍した、日本最初の女性職業画家とされる。頼山陽(1780~1832年)や菅茶山(1748~1827年)ら当時の文人と交流が深かった。

 見つかった紙本墨画淡彩「市井風俗図屏風」は、19世紀前半の六曲一双(各縦171センチ、横370センチ)。師走の餅つき、端午の節句の鎧甲(よろいかぶと)姿など、当時の暮らしを映す人物が月ごとに描かれている。博物館は、尾道に残る既存作と比較し、落款(らっかん)や画風などから玉蘊の真筆と判断した。久下(くげ)実主任学芸員は「江戸期の尾道の風俗を活写した貴重な作品で、玉蘊のレパートリーを知る資料になる」と評価する。

 久仁子さんによると、自宅2階は長年物置として使っており、木箱の存在は知っていたが開けたことはなかった。泰典さんの祖父が手に入れたものらしいが、泰典さん自身も一度見た記憶がある程度で詳しい由来は不明といい「これまで人目に触れなかった作品が多くの人に見てもらえれば、入手したと思われる祖父も喜んでいるだろう」と話した。

 この日の感謝状贈呈式で、加藤謙館長は「被災の中、貴重な屏風絵を残してくれ、敬意を表します」と感謝。仲立ちした豊池さんは「50年後、100年後まで残ることになりうれしい。真備は古い町。価値のある家財の処分を踏みとどまってもらうきっかけになれば」と笑みを浮かべた。

 久下主任学芸員は「もし文化財を処分する場合は、地元の教委や博物館などに相談してほしい」と訴える。受け入れを記念し、博物館では9日まで、屏風が特別公開されている。観覧無料。問い合わせは博物館(084・931・2513)。【松井勇人】

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