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アート巡り

リベンジ松本、の巻 水玉で人々を魅惑=青山郁子記者 /富山

修復が終わりキレイになった草間彌生の野外オブジェ「幻の華」=長野県松本市中央4の同市美術館で、青山郁子撮影

 以前、せっかく出かけたのに修理中だった長野県松本市美術館の草間彌生の野外オブジェ。きれいに修理され、さらに大型回顧展「草間彌生-オールアバウト・マイラブ私の愛のすべて」(会期終了)が開催されているというので、再び松本へ向かった。

     同市制施行110周年、同美術館開館15周年を記念した展覧会だけに市挙げて展覧会を盛り上げていた。JR松本駅前から、草間のシンボル、赤い水玉一色。美術館も水玉ラッピング、会場も大盛況だった。

     同市の種苗業を営む裕福な家庭に生まれた草間。性のタブーを破った当時としてはセンセーショナル過ぎる作品に、かつては松本の恥とまで言われた時期もあったというが、今では文化勲章受章者という郷土のヒロイン。90歳を目の前にしても衰えない制作意欲に、ただただ舌を巻いた。どうか100歳まで描き続け、女性の憧れの的で居続けてほしい。

     次はJR中央線で東京へ。東京オペラシティの「イサム・ノグチ」展と、東京国立近代美術館の「瀧口修造と彼が見つめた作家たち」を巡った。イサム・ノグチ(1904~88)は詩人、野口米次郎とアメリカ人の母親の間に生まれ、日米両国で活躍した彫刻家。日本では札幌市のモエレ沼公園を設計したことでも知られる。

     木、石、紙など素材の多様性はもちろん、舞台芸術、照明器具、庭などそのスケールの大きさは他の追随を許さないが、今展覧会で一番驚いたのが、女優の故・山口淑子さん(李香蘭)と戦後に結婚していた(後に離婚)ことだった。人に歴史ありとはこのこと。インターナショナルだったが故に戦中、戦後と辛酸をなめた2人。美男美女である以上にドラマチックな結婚だ。

     さらにノグチの仕事については、我が敬愛する富山市出身の詩人で美術評論家、瀧口修造も高く評価しており、1953年に日本で制作した陶作品をまとめて刊行された「ノグチ」(美術出版社)には瀧口の文章が掲載されている。

    静謐(せいひつ)な雰囲気が漂う「瀧口修造と彼が見つめた作家たち」の会場=東京都千代田区北の丸公園の東京国立近代美術館で、青山郁子撮影

     ノグチからの瀧口ということで、東京国立近美へ。瀧口が日本にシュールレアリスムを紹介し、批評活動を通じて若手作家を応援した功績にスポットを当てた展覧会。デカルコマニーやドローイングなど瀧口自身の作品もあり、大変素晴らしい内容だった。さらに写真撮影も一部を除いて可。図録はないものの、おしゃれなミニ冊子も無料でもらえるなど言うこと無しだった。

     「また瀧口か」と指摘されそうだが、どれだけ見ても飽きないというか、見れば見るほど魅力と謎が深まる瀧口。“恥”といわれていた時代の草間も応援していたのは周知の事実で、死後39年たってもこれだけの影響力を放ち続け、国立の美術館で展覧会が企画されるとは、富山市民としてこんなに誇らしいことがあろうか。

     東京の2館は金、土曜は午後8時まで開館しており、ゆったりと鑑賞できる。東京にお出かけの際はぜひとも足を運んでいただきたい。


    イサム・ノグチ-彫刻から身体・庭へ

     24日(月・祝)まで、東京都新宿区西新宿の東京オペラシティアートギャラリー。入場料一般1400円、高校・大学生1000円。月曜休館。

    瀧口修造と彼が見つめた作家たち

     24日(月・祝)まで、東京都千代田区北の丸公園の東京国立近大美術館。観覧料一般500円、大学生250円。月曜休館。

     両館とも金、土曜は午後8時まで開館。問い合わせはハローダイヤル03・5777・8600。

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