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北海道地震

「72時間」続く捜索 大切な人どこに

土砂崩れ現場で安否不明者を捜索する自衛隊員や消防隊員ら=北海道厚真町で2018年9月8日午前7時53分、貝塚太一撮影

 北海道で最大震度7を記録した地震は9日未明に発生から丸3日を迎える。地震や土砂災害で家屋などの下敷きとなった被災者の生存率が大幅に低下するとされる「72時間の壁」にあたり、8日も救助隊による懸命な捜索が続いた。【土江洋範、神足俊輔】

     厚真(あつま)町吉野地区では8日夜も自衛隊などが「一刻も早く見つけ出したい」と活動に当たった。自衛隊員らは救助犬がかぎ分けた臭いを頼りに5メートルほど積もった土砂をショベルカーでかき出した。投光器に照らされる中、衣服や木片が交じった土砂の中を人がいないか注意深く捜していた。

     胆振(いぶり)東部消防組合の男性消防士(54)は「焦る気持ちを抑えながら懸命に活動している」。千葉県警から派遣された男性警察官は「ご家族が待っているので、夜通しの活動でも気持ちを折らず、期待に応えたい」と話した。

     「72時間」は、人が何も飲まずに生き延びることができる限界とされる。阪神大震災(1995年)で発生から4日目になると生存率が激減したことなど、これまでに起きた災害から得た経験則からも、災害時の救助活動で一般的に認識される。

     総務省消防庁によると、全国の消防本部などでこの認識は共有されており、担当者は「生存者救出に重点的に戦力を投入する」と話す。自衛隊も同様で、「72時間という時間を念頭に即時救援活動にあたっている」という。

     ただ、72時間を超えても状況によっては生存の可能性はある。東日本大震災(2011年)では、宮城県石巻市で80歳の女性と孫の男子高校生が倒壊した家屋の下から217時間ぶりに救出された。海外でも10年のハイチ大地震で15日ぶりに少女が、15年のネパール地震では5日ぶりに少年が救出されたことがある。総務省消防庁の担当者は「72時間は一つのラインではあるが、過ぎたからといって活動の手を緩めることはない」と話している。

    いないと困る指揮者 厚真・松下一彦さん(63)

     厚真町の土砂崩れで家族や友人らを亡くした人たちは、その死を悼んだ。

     土砂崩れ現場から見つかり、死亡が確認された同町高丘の松下一彦さん(63)の友人、矢幅敏晴さん(62)は「現実として受け止められない」と言葉を詰まらせた。

     松下さんとは町民吹奏楽団の創設メンバーとして一緒に活動してきた。松下さんは代表と指揮者を務めるまとめ役だった。「そろそろ(指揮者を)やめたいな」と冗談めかして言うこともあったが、「松下さんが指揮者じゃないと困る」と団員から引き留められるほど信頼は厚かった。

     町内で今月16日に開催予定だった演奏会に向けて練習に励んでいた。「来週が最後の練習だ。頑張ろう」。4日に松下さんと交わした言葉が最後となった。

     矢幅さんは「町の文化活動を広げる一翼を担ってくれた。松下さんがいない中、楽団を続けられるか不安だ」と肩を落とした。

     一方、遺体が安置されている町内の施設では、訪れた親族らが身元確認に立ち会い、突然の別れを悲しんだ。

     「亡くなるなんて夢にも思わなかった」。死亡が確認された同町幌里の林崎清五郎さん(87)の妹、赤坂愛子さん(72)は声を震わせた。

     時々電話で会話すると、林崎さんはいつも元気な様子だった。足が不自由だったが、畑仕事に精を出していた。赤坂さんも同じ集落に住んでおり、まさか兄が命を落とすとは思わなかったという。「今となってはただ悔しいだけです」とうつむいた。【畠山嵩】

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