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全米テニス

「大坂劇場」笑顔と泣き顔のフィナーレ

優勝トロフィーを掲げる大坂=AP

全米オープンテニス・大坂なおみ優勝

 最後のサーブは、大坂の破竹の勢いを象徴していた。腕をいっぱいに伸ばして返そうとしたS・ウィリアムズのラケットをはじくほどの威力があった。「子供の頃にこの会場で優勝トロフィーを持ち上げるシーンを見た。成長し、戻って来られた。目標の一つがかなった」

 ベンチに戻るまでに感極まり、涙が止まらなかった。日本選手が4大大会に参戦して100年あまり。屈託のない笑顔の20歳の新鋭は4大大会通算23回の優勝を誇るレジェンドを力でねじ伏せ、日本テニス史に金字塔を打ち立てた。

 「パワーがすごく、体がしなやかで勝つための力を備えている。そんな選手、見たことなかった」。ツアーに本格参戦した15歳の頃の大坂を評したのは、「チーム大坂」のメンバーの一人、女子日本代表の吉川真司コーチ(40)だ。男子顔負けの高速サーブと強力なフォアハンドは桁外れ。5年の時を経て、大舞台で潜在能力の高さを証明した。

 勝負を焦って無理に強打で攻めず、サーブでは相手が返しづらい正面を突いて崩すなど戦略も見事。百戦錬磨のS・ウィリアムズに重圧をかけ、精神的に崩れそうな場面はなかった。相手の規則違反で騒然とした雰囲気でも、動じない心の強さも際立っていた。

 4大大会にデビューした2016年全豪オープンは3回戦まで勝ち進み、今年は全豪で自身初の4回戦へ。3月は4大大会に次ぐ格付けの「BNPパリバ・オープン」を日本選手で初制覇し、3日後には「マイアミ・オープン」で初対戦のS・ウィリアムズを破った。2年前の全豪時は127位だった世界ランキングは10日付で7位まで急上昇だ。

 今春に好成績を残したことは重圧との闘いが始まったことを意味した。テニスは精神面が勝敗を大きく左右する。「シャイな完璧主義者」(サーシャ・バイン・コーチ)は感情をコントロールできず、もろさも同居。勝利への重圧に押しつぶされ、テニスを「job(ジョブ)」と表現した。やらされる仕事という意味だが、「自分自身に集中」「できることをやる」と言い聞かせ、今ではテニスを「business(ビジネス)」と公言。主体的にやる仕事としてテニスと向き合い、大人へと成長した。

 育ったニューヨークで、子供の頃から憧れたS・ウィリアムズを決勝で破っての4大大会初タイトル。「全米で夢がかなったことがうれしい」。誰もが予想できなかった「大坂劇場」のフィナーレを、主演女優は朗らかな笑顔、そして愛らしい泣き顔で締めくくった。【浅妻博之】

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