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全米テニス

大坂、憧れのレジェンド破り「ごめんなさい」

セリーナ・ウィリアムズと話しながら、涙をぬぐう大阪なおみ選手=AP

 【ニューヨーク長野宏美】あどけなさの残る瞳からこぼれ落ちたのは、世界の頂点に立った喜びの涙ではなかった。「こんな終わり方でごめんなさい」。8日(日本時間9日)に当地で行われたテニスの4大大会、全米オープン女子シングルス決勝。日本選手で初めて4大大会シングルスを制した大坂なおみ(20)=日清食品=は憧れのレジェンドとの対戦を終えた直後の優勝インタビューで、複雑な心境を打ち明けた。

 決勝の相手は、地元・米国のセリーナ・ウィリアムズ(36)。大坂にとって、子供の頃から憧れの存在だ。4大大会通算23勝を誇り昨年9月に娘を出産。今大会はツアー復帰後初の4大大会制覇を狙っていた。会場は「母でも優勝」を願う観客で埋め尽くされた。

 大坂は、そんなアウェーの雰囲気にのまれなかったが、第2セットに予期せぬ事態が起きた。劣勢の相手がラケットをたたき折るなどの行為で警告を取られ、主審に抗議して暴言を吐き、ペナルティーによりゲームを失ったのだ。観客からは大きなブーイングが起こり、騒然とした雰囲気になった。それでも大坂は、相手の抗議中も素振りをしながら集中力を高め、初優勝をつかみ取った。

 後味の悪い終わり方だったこともあり、表彰式になると、観客からは再びブーイングが起きた。「あなたは勝者にふさわしい」と試合直後に大坂を抱き締めたS・ウィリアムズは観客席に向かって、「もうブーイングはやめて」と呼びかけた。

 そんな中で行われたインタビューの冒頭、大坂は「質問とは違うことを話します」と口にし、こう続けた。「みんな(観客)が彼女を応援しているのは分かっています。こんな終わり方でごめんなさい」。会場は一瞬、静まりかえった。そしてS・ウィリアムズに「全米決勝で戦う夢がかないました。対戦してくれて、ありがとう」と声をかけ、小さく頭を下げた。普段は快活な大坂が見せた神妙な姿。ブーイングは収まり、観客は高々と優勝トロフィーを掲げた新女王に、温かい声援を送った。

 試合後の記者会見。大坂が声を詰まらせる場面があった。「彼女が24回目の4大大会優勝をしたかったのは分かっていた。でも、私はコートに足を踏み入れたら別人のような気持ちになる。セリーナのファンではない。でも、(試合後に)彼女をハグした時……」。約10秒間の沈黙後、かつてのアイドルの心中を思い、「また子供の時のような気持ちになったの」と涙をぬぐった。心の優しい20歳の女性の姿があった。

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