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社説

自民総裁選の論戦始まる もっと突っ込みがほしい

 自民党総裁選の論戦がようやく始まった。北海道の地震対応を優先し、選挙活動を3日間自粛していた。

     今後3年間の日本のかじ取りを担う首相選びの舞台である。しかし、安倍晋三首相と石破茂元幹事長が出席した所見発表演説会と記者会見は国民を引きつける力を欠いていた。

     首相はアベノミクスの成果を強調する発言が目立ち、大胆な金融緩和の副作用や出口戦略への言及はなかった。人口減少を見据えた社会保障の将来像は示さず「3年で改革を断行する」とだけ述べた。

     年金や介護、医療のあり方を検討するためには給付と負担の議論が避けられない。なのに、消費税率10%への引き上げを2回も先送りし、議論を停滞させてきたのが首相だ。

     「超」のつく少子高齢化で国民にのしかかる将来不安をいかに解消するのか。総裁任期を2期6年から3期9年に延ばす党則変更までして異例の長期政権を目指すからには、3年後の日本の姿を示す具体的なメッセージがあってしかるべきだろう。

     対する石破氏は「社会保障国民会議」の創設や、森友・加計問題を念頭に「政治・行政の信頼回復100日プラン」などを公約に掲げたが、こちらも具体策に乏しい。

     アベノミクスの行き詰まり、社会保障改革の先送り、政権の不祥事が首相の弱点だと石破氏は考えているようだ。だが、現政権の何が間違っていて、どう改善すべきなのかを明確に示さなければ、あえて「安倍1強」に刃向かう道を選んだチャレンジャーとして迫力に欠ける。

     石破氏の腰が引けているように見えるのは、石破氏を支持する参院竹下派が対立の先鋭化を望んでいないことへの配慮もあるのだろう。

     だからといって、相手への直接の批判を避け、抽象的な政策や理念を一方的に主張するだけでは議論は深まらない。互いに政治信条の違いを明らかにし、相手の弱点に突っ込みを入れる丁々発止の討論が必要だ。

     首相は自身の政治姿勢について「改めるべき点はしっかりと改め、謙虚に丁寧に政権運営を行ってまいりたい」と語ったが、これまでに何回も聞いたフレーズだ。

     これを言いっぱなしで終わらせないためにも、14日に延期された討論会で掘り下げてもらいたい。

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