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北朝鮮

建国70年 バランス模索 米に配慮、中韓と「友好」

建国70周年を迎えた9日夜に披露されたマスゲーム。「4.27宣言 平和の時代、歴史の出発点から」と表示された=平壌で2018年9月9日、渋江千春撮影

 【平壌・渋江千春】北朝鮮は建国70周年を迎えた9日、平壌の金日成(キムイルソン)広場で大規模な軍事パレードを実施した。しかし大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの核戦力は誇示せず、トランプ米大統領も同日、ツイッターで「非常に前向きな意思表示だ」と評価した。北朝鮮としては米国に対して非核化の意思と矛盾しない配慮を見せるとともに、中国や韓国とは友好ムードを鮮明にし、関係国とのバランスを模索したとみられる。

     軍事パレードの際、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の横で観覧したのが、中国共産党序列3位の栗戦書(りつせんしょ)全国人民代表大会常務委員長(国会議長)だった。2人は時折顔を寄せ合って会話を交わし、金委員長が栗氏の手を取って高く掲げて中朝関係の緊密ぶりをアピールする場面もあった。

     金委員長は同日に栗氏と会談し、関係を発展させていくことで一致。中国国営新華社によると、金委員長は非核化に関して「朝米首脳会談の合意を堅持しており、そのための措置を取った」と強調した。「米国側が相応の行動を取り、半島問題の政治的な解決に向けて共に取り組むことを望む」と訴えた。この際、栗氏は習近平国家主席の親書を伝達した。

     夜には平壌のメーデースタジアムで、巨大マスゲーム・芸術公演「輝く祖国」があり、金委員長も妻の李雪主(リソルジュ)氏と観覧した。

     マスゲームの主題の一つとなったのが南北融和だった。約1万7500人の学生がプラカードを作って絵や写真を忠実に再現した。暗闇の中に金委員長と韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の姿が浮かび上がると、軍事境界線を挟んで向かい合った2人が、だんだんと近づき、握手を交わした。4月27日に板門店で開かれた南北首脳会談を表現したものだった。「4・27宣言 新しい歴史はこれから」「わが民族同士 統一の新しい歴史を刻もう」の文字と共に、南北統一を象徴する曲「われらの願いは統一」が会場に流れると、満員の観客が一斉にたたく手拍子がこだました。

     北朝鮮が中国や韓国との友好ムードを前面に押し出した背景には、米国に対する不満がある。ある当局者は「米国は信用できないというのが一般の市民の声だ。長い間敵対関係が続いてきたこともあり、信頼関係を築くのが重要だが、米国は何もしていない」と漏らした。

     また、厳しい制裁が続く中、北朝鮮には経済発展に集中する新路線を早期に軌道に乗せたい考えもある。9日のパレードでも「人民重視」「人民尊重」と書かれた看板が登場し、特に住民生活向上に重点を置いていることがうかがわれた。各国からの報道陣約150人に取材を許可した場所も、製糸工場や化粧品工場、農場と、いずれも住民生活に直結する分野だ。北朝鮮には、中国や韓国との経済関係強化への期待感が強く、特に南北関係について当局者も「我々が共に力を合わせて発展するのが唯一の道だ。そのためにも、民族の問題は民族で解決しないといけない」と主張しつつ、米国の干渉をけん制した。

    「経済路線前面」 中国が式典評価

     【北京・河津啓介】中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は10日の定例記者会見で、北朝鮮の建国70周年行事について「(北)朝鮮側は祝賀活動で、経済建設と民生改善の決意を示した」と指摘した。北朝鮮が軍事パレードで弾道ミサイルを出さず、経済発展路線を前面に出したことを評価した。

     中国からは、栗戦書(りつせんしょ)全国人民代表大会常務委員長(国会議長)=共産党序列3位=が観覧した。中国の最高指導部メンバーの訪朝は2015年10月以来で、中朝関係の「全面回復」(中国紙)を印象付けた。

     一方で、注目された習近平国家主席の訪朝は実現しなかった。貿易戦争が激化する米国との関係を考慮した可能性がある。

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