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黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続

/41 第一話 泣きぼくろ=宮部みゆき 題字・絵 藤枝リュウジ

 無理もない。十四年前の家族の修羅場を語り続ける八太郎の顔を見つめて、富次郎も身を縮めていた。

「母ちゃんがすごく優しい声を出してさ。八太郎のお腹(なか)が冷えたらいけない、あんたたちで湯屋へ連れてっておくれって、兄ちゃんたちに頼んだ」

 急げばまだ終(しま)い湯に間に合う。

「行ってきておくれ。それって、ちょっと家を空けてておくれよって意味だよな」

 豆源父ちゃんは、まだ頭を抱えて丸まったまんま動かない。

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