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女の気持ち

真珠婚の夏に 大阪府豊中市・竹之内弥生(主婦・65歳)

 「1度断られたけど、おいに会ってみない?」。近所のおばさんがそう言ってるよ、と母から聞かされた。初耳だと思ったが、軽い気持ちで承諾した。互いに顔も、名前も、年齢も知らないまま、おばさんの家で会った。

     後日、2人の中間地点である大阪で日帰りデートし、帰宅してから病床の父に「お父さんによく似た誠実な人だよ」と報告した。父は喜んでくれたが、会う機会もないまま、結納の日が父の命日になった。喪失感もなく時間に追われ、これから住む雪国へ向かったのが、平成元年の春から夏にかけての出来事だった。

     遠く実家を離れる不安はなく、地元の人たちは温かく受け入れてくれた。雄大な連山と大自然に魅了され、外灯に舞う雪の美しさにも心を奪われ、毎日が新鮮だった。

     数年後、夫の転勤で南国へ移り、子どもを授かった。冬でも裸足で赤ちゃんを遊ばせる喜びを味わった。高齢出産ではあったが、若い頃は仕事が楽しかったし、ライフスタイルにこだわって結婚が遅かっただけだ。

     阪神大震災の直後には大阪に転勤。震災からの歳月は子どもと同年だから決して忘れない。

     私は集団行動が苦手だったが、子どもの学校行事に参加したことで道が広がった。夏の終わり、夜空に自己主張する打ち上げ花火を見ながらブルースを聴いていると、平成の30年間が走馬灯のようによみがえった。父はまだ私の中で生きている。この夏、真珠婚を迎えた。

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