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福島原発事故

後世も検証を 双葉にアーカイブ拠点施設

松本哲山さんから東京電力福島第1原発事故後の話を聞き取る福島大の柳沼賢治特任教授(右手前)=福島県葛尾村で2018年9月7日午前10時44分、吉田卓矢撮影

 東京電力福島第1原発事故の教訓を後世に継承するため、福島県が双葉町で計画する「アーカイブ拠点施設」。2020年の開設を目指して資料収集が進む中、県から作業を委託されているのが、福島大うつくしまふくしま未来支援センターの柳沼賢治・特任教授(文化財論)らのグループ。各地を回り、残された資料や被災者の証言、写真、映像などを集めている。

     「何の検査もなしに殺処分だなんて、納得いかねえ。牛に家族の生活を守ってもらっていたんだ」。同県葛尾村で牛の繁殖農家だった松本哲山さん(61)は、震災当時の様子を残していた写真を見ながら話した。

     松本さんの農場は国が定めた20キロ圏内にあったため、飼育していた牛8頭は全てスクリーニング検査をされることなく殺処分された。「証言を取ることで資料の価値も高まる」と柳沼さん。ビデオカメラを回しながら、松本さんの話にじっと耳を傾けた。

     この日は、村教育委員会や旧村立葛尾中学校も訪問。当時の教育長室に残されていた11年3月の予定が書かれたホワイトボードや、震災当日に卒業式だった中学校の黒板などを確認した。何カ月もかけて信頼関係を築き、資料を譲り受けることもあるという。

     収集対象は、震災前の日常生活を示すものから震災や原発事故当時が分かるもの、事故後の様子が分かるものなど、あらゆるものが含まれる。

     昨年11月には、第1原発から約4キロ離れ、現在も帰還困難区域の県立大野病院(同県大熊町)を訪れた。同病院は震災当日、津波や地震でけがをした多くの人が来院。原発事故で翌朝に避難指示が出て、午前7時にバスや救急車で避難した。玄関付近には、名前や症状などが書かれた紙を張りつけたホワイトボードが置かれ、点滴用スタンドなどが散乱。当時の緊迫した様子が伝わったという。

     柳沼さんは「資料をもとにあらゆる分野から、原発事故と震災を検証・調査できるようにしたい」と話す。【吉田卓矢】

     【ことば】東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設

     2020年夏に県が双葉町に開設する施設で、総事業費は約55億円。延べ床面積は約5200平方メートルで、展示、管理・研究、収蔵、研修・会議などの各エリアから成る。昨年3月に基本構想がまとめられた。県生涯学習課によると、神戸市の人と防災未来センターを参考に、より原子力災害に重点を置いた施設になるという。

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