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北海道地震

山崩れ一階の父犠牲に 前夜の笑顔忘れぬ

 北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震に見舞われた厚真町では36人が犠牲になった。自宅が土砂崩れに巻き込まれて亡くなった同町桜丘の中田一生(かずのり)さん(76)の長男一好(かずよし)さん(50)は11日、初七日を前に初めて町内の墓地を訪れた。【岡崎英遠、一宮俊介】

     多くの墓石が倒れる中、中田家の墓は地震前と変わりがなかった。「これで父の遺骨を納められる。広々とした厚真の空の下の方が父も喜ぶだろうから」と澄んだ秋空を見上げた。

     一好さんは6日未明、自宅2階の自室で、父は1階の和室で寝ていた。突然「ダダダダダッ」というごう音が響き、立つこともできない激しい揺れに襲われた。家はどんどん傾き、「ドスン」という衝撃とともに揺れが収まった。携帯電話の明かりを頼りに周りを見渡すと、父の寝ていた方向に家が潰れていた。

     「おやじ、返事せえ」と何度も叫んだが、耳をすましても声は返ってこない。

     「おやじを殺してしまう。助けられない」。涙が止まらなかった。

     夜が明けて外に出ると、自宅の裏山が崩れ、木が何本も1階に突き刺さっていた。近所の住民や親戚が駆け付け、「何としても一生さんを出さないとダメだ」とスコップで掘り続けた。自衛隊も加わり、父が見つかったのは午前10時ごろ。「みんなのおかげで一番早く見つけてもらえた」。土の中から見つかったパジャマ姿の父は、かすり傷はあったものの寝ているような顔つきだった。「でも、父は苦しかったのかなとも考えてしまう」

     弟家族は札幌で暮らし、母が14年前に他界してから、ずっと父子2人で暮らしてきた。父は子ども思いで、一好さんが大人になってからもずっと気遣ってくれた。地震前夜、健康診断の再検査を受けて帰宅した一好さんが「問題なかった」と父に伝えると、「良かった良かった」と喜んでくれた。その時の父の顔が忘れられない。

     突然の地震で父も自宅も失った。「この先の自分の将来について、今は何も考えることができない。ただ父の遺骨だけはこの地においておきたい」。そう思っている。

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