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昭和史のかたち

新視点・分析による実証主義=保阪正康

「市場」が求める自省史観

 過日、ある書店で鴻上尚史さんと対談を行った。鴻上さんの「不死身の特攻兵」がよく売れているのと、私の「昭和の怪物 七つの謎」も少々売れる範囲に入っているというので、なぜだろうとの分析を試みたのである。答えは簡単に出ることではないが、私なりに多々思うことはあった。

 初めに結論を書くことになるが、昭和史の「市場」は一巡したとの実感である。私への読者からの手紙や感想を寄せてくる人はこれまでと異なり、私のこれまでの書にふれたことのない読者が案外目立つ。それも若い世代だ。鴻上さんとの対談のあと、ある高校生が控室に来て、「読んでほしい」と冊子を手渡された。中学3年の時の卒業論文だというのだ。中高一貫教育の私立では、卒業論文というらしい。私の書も参考にしていると話していたが、特攻作戦を中学生の目で見ての分析だった。レベルの高さに驚いた。単純な批判や肯定ではなく、このような作戦を選んだ軍事指導のシステムにメスを入れていた。

 私があえて「市場」が一巡したというのは、戦後70年という時間の長さの中で、昭和史の概論、通史、史実…

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