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社説

視点・自民党 北朝鮮拉致問題 「安倍印」意識し過ぎでは=論説委員・伊藤智永

 2002年、当時の小泉純一郎首相が訪朝し拉致事件を認めさせることができたのは、北朝鮮が米国の敵視政策に苦しんでいる情勢があったからだ。

     米朝の劇的な首脳会談が行われ、日朝交渉への期待も高まっている。安倍晋三首相は「あらゆるチャンスを逃さない」と気負うが、むしろ北朝鮮にとっては直ちに日朝首脳会談を行う動機は乏しいかもしれない。

     日本だけで解決できない核・ミサイル問題と、結局は日本自身で解決するしかない拉致問題は時に裏腹の関係になるため、米朝・日朝外交は常に並行して進むとは限らない。

     こうした局面を迎え、今更ながら政権支持層の間にも疑念が広がっている。安倍首相が「内閣の最重要課題」と言い続けてきた拉致問題の停滞はあまりに長すぎないか、ということである。核・ミサイル問題の悪化ばかりが理由ではないだろう。

     14年5月の「ストックホルム合意」は、北朝鮮が日本人行方不明者全員の再調査を約束しながら、相互不信で宙に浮いた。

     日本政府認定の拉致被害者17人について「5人帰国、4人未入国、8人死亡」とする北朝鮮の主張と、「全員を生きて奪還する」という安倍政権の方針のずれを乗り越えられなかった。

     日本記者クラブ主催の自民党総裁選立候補者討論会で、安倍首相は「(溝を)埋める努力とは、北朝鮮の言い分をのめということですか。拉致したのは彼らだ。政府としては生きていることを前提に交渉するのは当たり前だ」と語気を強めた。

     拉致問題は、安倍首相が強い政治家として台頭するきっかけになったシンボル的な課題である。討論会でも「大変大きな責任を感じている」と述べた。

     だが「安倍印」を意識し過ぎるあまり、外交の柔軟性が失われてはいないだろうか。

     石破茂元幹事長は、平壌と東京に両国が相互に連絡事務所を置き、相手の情報を一つ一つ確認していく方式を提唱した。

     北朝鮮の出方にもよるが、目先のメンツにとらわれず、あらゆる手段で相手の主張を崩していく情報収集を尽くすべきだ。

     困難な情勢だからこそ、北朝鮮が拉致問題と向き合う動機付けを工夫してほしい。大事なのは、状況を動かすことだ。

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