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的川博士の銀河教室

516 「はやぶさ2」いよいよ本番

着地点候補の意味

 さる8月17日、JAXA(ジャクサ)相模原キャンパスに、小惑星(しょうわくせい)探査機「はやぶさ2」の国内外のメンバー合計109人が集まり、2年前から議論していた小惑星リュウグウの着地点を選びました。議論は白熱し、夜までかかって結論が出ました。何しろ岩だらけの表面です(図1)。選定には難儀(なんぎ)しました。今回はその候補をどういう基準で選んだのかを話しましょう。

     着地点候補としては、赤道から±30度(緯度(いど))であることが最優先。これは着陸のしやすさです。リュウグウの半径が500メートルなので、これはリュウグウの赤道を中心とする±200メートル以内の領域になります。それに加えて、以下の四つの条件が挙げられました。

    ・地面の平均的な傾(かたむ)きが30度以内

     地形ですね。「はやぶさ2」が地球と小惑星を結ぶラインに沿ってリュウグウに近づいた時に、表面にタッチする瞬間(しゅんかん)は、サンプルをとるために、「はやぶさ2」の底面がリュウグウの表面とほぼ平行になる必要があります。このときに太陽電池が依然(いぜん)として太陽の方向を向いていないと発電できないからです。

    ・直径100メートルにわたり、平坦(へいたん)な部分であること

     誤差も考えて、「はやぶさ2」の安全にとって重要な条件ですね。

    ・岩塊(がんかい)の高さが50センチ以下であること

     これはサンプルをとる時のサンプラーホーンの長さのためです。サンプラーホーンと「はやぶさ2」本体の間が約1メートルですから、これより高い岩があると、探査機に傷がつく可能性があります。少し余裕(よゆう)をもって50センチ以下が望ましいということです(図2)。

    ・表面が97度以下であること

     機器の受けるダメージを考慮(こうりょ)した条件です。設計上の条件が370K(ケルビン)(絶対温度)、これをセ氏に直すと97度です。太陽を背にして降下しますから、向かう表面は太陽に照らされて熱くなっているんですね。

     図3を見てください。リュウグウ赤道上の「L08」と呼ばれる100メートル四方のエリアが、本体による1回目のサンプル収集の候補地点。L08のすぐ隣(となり)にある「L07」と、少し南に下がった中緯度の「M04」の二つのエリアがバックアップ。「MA-9」と「N6」というローバー(探査車)の着地点候補も一部選ばれました。いよいよオペレーションのクライマックスが近づいている気配がしてきました。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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