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社説

福島の「サン・チャイルド」 設置と撤去が残した教訓

 公共空間におけるアートはどうあるべきか。原発事故の風評被害を増幅するなどと批判を受けた巨大な子ども像が20日、撤去された。

     福島市が先月3日、「復興の象徴」として、JR福島駅に近い教育文化施設前に設置した「サン・チャイルド」だ。

     現代美術家のヤノベケンジさんが2011年の東日本大震災を機に制作した。高さ6・2メートルの像は黄色い防護服のような姿で、ヘルメットを脱いで前方を見つめている。放射線量計を模した胸のカウンターは「000」と表示されている。

     ヤノベさんは「未来を見据えて力強く立ち上がる姿に、希望が持てるよう制作した」と意図を説明する。

     設置直後から、市に批判が寄せられ、インターネット上でも賛否さまざまな意見が飛び交った。市は「賛否が分かれる作品を置くのは難しい」と、設置から1カ月もたたないうちに撤去を発表した。

     木幡浩市長が「合意形成のプロセスを欠いた」と謝罪したように、設置を急ぎすぎたのも混乱を招いた一因だ。

     震災から7年しかたっておらず、原発や放射能汚染というデリケートな問題を含んでいる。12年に福島空港ロビーで展示されて好評だった経緯はあるが、設置場所や時期など、事前に広く市民の意見を聞き、配慮すべきであっただろう。

     美術館やギャラリー以外の公園や街路など公共空間に設置される芸術作品はパブリックアートと呼ばれる。広く市民に芸術に触れる機会を提供するだけでなく、都市景観の形成や、記憶を形にするなどの役割を果たしてきた。

     その半面、不特定多数の人が見るため、メッセージ性のある作品への不快感などから議論を呼ぶこともある。行政側が一方的に置くだけでは、理解は得られにくい。ネット上にも公共空間が広がっているという現状も無視できない。

     しかし、ヤノベさんも危惧するように今後、表現者が過度に萎縮するようなことがあってはならない。

     地域住民に愛されることはもちろん大事だが、心地いいものだけがアートではない。見る人の心にひっかかりを残し、立ち止まって考えさせることも重要な役割のはずだ。

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