世界平和に貢献した個人や団体に与えられるノーベル平和賞。編集長は受賞したことはありません……まだ。しかし! ノーベル平和賞のメダル(公式レプリカ)に触ったことはあります。そう、23日、毎小のイベントのために2017年のノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営委員、川崎哲さんが毎日新聞東京本社にきたんです。25日(一部地域26日)の1面と今日の5面で紹介しています。
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平和賞のメダルの直径は10センチメートルほど。表には賞の創設者で、スウェーデンの化学者、アルフレッド・ノーベルの横顔が刻まれています。手に持つと「おっ、重いな」という感じ。編集長は大人なので平静を保っていましたが、心の中ではうれしくて、秋田犬になってシッポを振りながら会場を3周ぐらいしていました。
川崎さんの講演は印象的でした。広島・長崎に落とされた原爆の恐ろしさ、核実験のために世界中に被爆者がいること、世界には1万4450発もの核兵器があること、そして国際社会とICANなどの努力で核兵器禁止条約ができたこと……。
正直に告白します。私は核兵器禁止条約はできないだろうと思っていました。核兵器大国、アメリカとロシアが核を手放すはずがないなら、条約ができても「絵に描いたモチ」です。そんなもののために努力をする国や人がいるだろうか?と思っていたのです。しかし17年7月7日、122か国・地域もの賛成票を得て条約はできました。世界は変わり始めたんです。
講演後、参加した子どもたちから次々と質問が出ました。「戦争はどうして始まるの」「核実験で海にはどんな被害があったんですか」。山梨県の小6、松田紬さんは直球の問いを投げました。「困っている人を救って、平和な世界をつくりたいと思うけれど、どうしたらいいですか」
川崎さんは答えました。「夢をかたちにする。そのために一番大事なことは、その気持ちを持ち続けることです。そして目標を設定する。それも具体的な目標を。例えば世界平和のためにはまず核兵器をなくそう、核兵器をなくすためには核兵器を使うのを禁止しよう、禁止するには国際的なルールをつくろう。そしてルールをつくることに成功しました。次はルールを守らせる、実行させることが目標です。実現可能な目標を設定することが大事なんです」
イベント後、参加者アンケートを一枚一枚読みました。「核兵器なんて考えたこともなかった。いろいろな人種の人が同じ思いで核兵器をなくす活動を協力してやっている事に感心した」(東京都の小5、国京樹くん)、「日本は核兵器禁止条約に参加していないので一日でも早く参加してほしいと思った」(千葉市の小6、水野リヒトくん)、「核について知ることができてとてもためになった。話し合いが楽しかった」(神奈川県横浜市の小3、田中りなさん)
それぞれの気持ちを持ち続けてほしいな。それは世界を変えるかもしれません。
今年のノーベル平和賞の発表は10月5日です。【編集長・太田阿利佐】