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富田林逃走

350キロ自転車で移動か 所持金280円

樋田淳也容疑者の逃走を巡る経緯

 大阪府警富田林署から逃走した樋田淳也容疑者(30)が同署から約350キロ離れた山口県周南市で48日ぶりに逮捕された。「やっとこの日が来た」「まさか山口県にいたとは」。容疑者確保を「最大の懸案」(府警幹部)として約3000人態勢で行方を追ってきた府警幹部らは一様に驚き、捜査への対応や情報収集に追われた。

道の駅で食品万引き

 「何するんか。離せ」。29日午後6時ごろ、周南市の道の駅「ソレーネ周南」の店先で、樋田容疑者が怒鳴り声を上げた。万引きが見つかり、警備員の女性に身柄を取り押さえられた瞬間だった。

 大阪府警や山口県警などによると、坊主頭にしていた樋田容疑者は黒い帽子をかぶり、上が青、下が黒のウインドブレーカーを着用。変装するかのように、サングラスをかけていた。

 食品売り場をうろついた樋田容疑者は、餅やロースカツ、菓子パン、缶コーヒーなどを万引き。服の中に隠す様子を警備員が確認した。そのまま店外に出て自転車に乗ろうとした樋田容疑者に、「会計がまだですよ」と声を掛けると、「財布を取りに行っただけ」と取り合わず、別の従業員らともみ合いになったという。

 自転車は大阪府羽曳野市で盗まれたもので、白色のスポーツタイプの荷台には大量の荷物が積み込まれていた。樋田容疑者は店の事務所に連れられた後も、「トイレに行く」などと話して逃げようとしたが、従業員数人で阻止した。所持金はわずか280円。樋田容疑者は日焼けし、目は充血していたという。

 ソレーネ周南は国道2号沿いの田園地帯にあり、農産物や水産物の販売所やコンビニもある。近くに山陽自動車道の徳山西インターチェンジがあり、観光客に人気の施設。樋田容疑者の逮捕の報を受け、現場には報道陣が続々と駆け付けた。

 付近のガソリンスタンドの男性店員によると、数台のパトカーが猛スピードで集まった。近くに住む男性(90)もパトカーのサイレンの音を聞いた。「事故か何かと思っていた」と驚いた様子だった。別の主婦(70)は「テレビで逮捕されたことを知り、ぞっとした。まさかこんなところまで逃げてきていたとは」と話した。【松本昌樹、柿崎誠】

府警「全容解明これから」

 「樋田容疑者が逮捕されました」。府警本部では午後9時45分ごろ、広報担当者が逮捕の一報を記した紙を報道陣に配布。捜査本部のある富田林署にも大勢の報道陣が詰めかけた。署内ではひっきりなしに電話が鳴り、署員らが「詳しいことは分かりません」などと対応に追われた。

 田畑修治・捜査1課長は午後10時半から府警本部で対応し、淡々とした様子で逮捕容疑などを説明した。

 8月12日の逃走以来、府警は3000人態勢で捜査を続けてきた。顔写真に加え、樋田容疑者が左ふくらはぎに彫った入れ墨の図案も公表。逮捕前に防犯カメラに映った樋田容疑者の動画や、帽子や眼鏡などで変装することを想定したイラストも相次いで公開し、広く情報提供を募った。

 今月18日には府警OBが有力情報に上限200万円を支払う懸賞金の運用も開始した。府警幹部は「ようやく見つかったが、事件の全容解明はこれからだ」と気を引き締めた。

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