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論の周辺

ベストセラーが映す時代

 ベストセラーは時代を物語るものとして、よく取り上げられる。大正教養主義を代表する本といえば、何と言っても阿部次郎(1883~1959年)の『三太郎の日記』だろう。14(大正3)年出版で、大正・昭和期の「青春のバイブル」「知的青年の必読書」となり、今も読まれている。その阿部の評伝『教養派知識人の運命』(筑摩選書)を、教育社会学者の竹内洋さんが刊行した。長年、近現代日本のエリート教育や知識人の歴史を研究し、『教養主義の没落』『学歴貴族の栄光と挫折』といった話題作を放ってきた著者だけに、積年の興味の対象だったようだ。

 阿部は山形県に生まれ、旧制中学時代に校長と対立する「学校騒動」で放校処分となり、上京する。旧制第一…

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