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的川博士の銀河教室

520 ソユーズ打ち上げ失敗

宇宙飛行士は脱出して無事

 日本時間のさる10月11日夕方、中央アジアのカザフスタンで打ち上げられたロシアのソユーズ・ロケット(写真1)が異常飛翔(いじょうひしょう)をし、宇宙飛行士2人が乗っていたカプセルが緊急分離(きんきゅうぶんり)されて地上に戻(もど)りました。2人は無事でした。このソユーズ・ロケットには、「ソユーズ」という同じ名前の宇宙船が載(の)っており、事故が起きたのは、宇宙船ではなくてロケットの方ですから間違(まちが)えないようにね。

     飛翔に異常が起きたのは、打ち上げからおよそ2分後。2段目のエンジンが停止するトラブルが起き、米露(べいろ)2人の宇宙飛行士が乗っていたカプセルは、高度50キロあたりでロケットから分離(ぶんり)されました。カプセルは、備え付けのパラシュートでカザフスタンの草原地帯に落下し、駆(か)けつけた救助隊が2人の無事を確認しました(写真2)。

     ソユーズ・ロケットは、1967年に初めて打ち上げられ、半世紀以上の長い歴史を持つ世界で最も信頼性(しんらいせい)の高いロケットです。2011年に米国のスペースシャトルが引退した後は、現在では唯一(ゆいいつ)、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運んでいる輸送機関です。

     日本の宇宙飛行士もみんなソユーズで運んでもらっているので、来年後半以降に予定されている日本人の野口聡一(のぐちそういち)さんと星出彰彦(ほしであきひこ)さんの飛行やISS滞在(たいざい)にも影響(えいきょう)があるでしょう。またISSでの科学実験の計画も変更(へんこう)せざるを得ませんね。

     ISSは、通常5~6人の宇宙飛行士が滞在しており、現在いるのは欧州(おうしゅう)とロシア、米国の3人の宇宙飛行士です。今回、2人の宇宙飛行士が行けなかったので、当分の間は現在の3人で運用されます。食料の備蓄(びちく)は数カ月分あるし、生活物資などを運ぶ無人の補給船は打ち上げられますから、宇宙飛行士の生命や生活は大丈夫(だいじょうぶ)でしょう。また、帰還用(きかんよう)に別のソユーズもISSにはドッキングしているので、地球に戻ることはできます。

     でも原因究明とその対策に時間がとられ、現在の3人を帰還(きかん)させる前に交代の宇宙飛行士を送り込(こ)むことができなくなれば、ISSが一定期間無人になる可能性もあります。NASAでは、「ISSに誰(だれ)もいなくても地上から制御(せいぎょ)し続けることは可能」ということです。

     ロシアの速報では、打ち上げの数分後に切り離(はな)す予定だった1段目にあたる4本のブースターのうちの1本(図)が、何らかの原因で正常に離れないで、真ん中の2段目ロケット本体と衝突(しょうとつ)した結果、予定の軌道(きどう)を外れたことが主な原因だという見方を示しています。来年春には次のソユーズを打ち上げると言っています。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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