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社説

医師の過労対策 過剰受診防ぐ態勢作りを

 政府は医師の働き方改革に取り組んでいる。

     大規模病院を中心に勤務医の長時間労働は常態化しており、過労や寝不足で医療事故につながりかねないミスを経験した医師は多い。過労死も相次いでいる。

     医師法には「正当な理由なく患者を断ってはならない」という「応招義務」が定められている。患者が来院すれば診なければならない。それが長時間労働を招いているのだ。

     いつでも必要と思う時に病院に行って受診できるのが、日本の医療の特徴だ。福祉先進国といわれるスウェーデンの病院は生命が危ぶまれるような状態でなければすぐには診てくれない。

     一方、日本の病院は大勢の患者を少ない医師が診ているため、患者にとっては待ち時間が長く、診察時間は短い。特に患者が集中する大病院、医師や看護師の手薄な夜間・休日はそうした傾向が強い。

     厚生労働省は今月「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」を設置した。患者が適切な医療のかかり方を身につけることで過剰受診の改善につなげる試みである。急を要しないのに、夜間・休日に病院を訪れることを減らす方策を立てるのが懇談会の目的だ。

     ただ、安易に受診を抑制しようとすると、患者の理解は得られないだろう。小児科は入院の必要のない軽症の患者が9割以上という。軽症であることを患者が判断できないから病院に行くのであり、患者が必要な時に十分な情報を得られるようにすることが大事だ。

     宮崎県立延岡病院は医師の退職に伴う診療科の閉鎖が相次ぎ、一時は医療崩壊の状態に陥った。夜間・休日の救急患者が10年余りで3倍に増えたことが大きな原因だった。

     自治会や商工会議所が中心となって「不要不急」の受診を控えるよう住民への啓発活動を始めた。医師や看護師による「救急医療ダイヤル」も開設し、夜間・休日の受診の前に必要性を相談できるようにした。その結果、時間外受診はピーク時の半分に減ったという。

     いつでも受診できる利点を維持しつつ医療を守る必要がある。そのためには、患者の安心に配慮し、住民主導で取り組むことが肝要だ。

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