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的川博士の銀河教室

521 ベピ・コロンボ計画

日本初の水星探査機「みお」発進!

 日本・欧州(おうしゅう)共同の水星探査計画「ベピ・コロンボ」の2機の探査機が、さる10月19日、欧州のアリアン・ロケットに搭載(とうさい)されて、南米・仏領ギアナのクールー宇宙基地から水星に向け、旅立ちました(写真1)。これから7年の旅を経て、2025年末に水星に到着(とうちゃく)します。日本も欧州も水星に探査機を送るのは初めてで、世界的に見ても、アメリカのマリナー10号、メッセンジャーに次ぐ3度目のミッションです。

     今回のアリアン・ロケットには、日本と欧州がそれぞれ開発した2機の探査機が載(の)せられています(図1)。日本の探査機MMOは、「みお」と命名されており、水星の磁場の振(ふ)る舞(ま)いを調べ、太陽風とのせめぎ合いを研究します。欧州の探査機MPOは、水星の地形を調査し、高度分布や地下の状態を観測し、表面の構造や組成を研究します。

     水星は私たちの太陽を回っている八つの惑星(わくせい)のうち最小ですが、太陽に一番近く、行くのが非常に困難で、しかもたとえばその中心核(かく)の重さが全体の60%を占(し)めているという大きな謎(なぞ)を持つ天体です。核が異常に大きいことは、たとえば「水星は元々(もともと)もっと太陽から遠いところで誕生し、後に他の天体と衝突(しょうとつ)して近くに行ったのではないか、だからその衝突の時に表面から多くの物質が失われて、核が大部分を占めるような事態になったのではないか」といった仮説も提唱されているのです。これが正しいかどうかが試されるなど、興味津々(きょうみしんしん)の観測が展開されることになるでしょう。

     それにしても、到着までに7年もかかるというのはすごいですね。これは図2のように、地球・金星・水星の重力を何度も使って「スイングバイ」という省エネルギー航法をしながら、徐々(じょじょ)に水星に近づく軌道(きどう)を採用したからです。それによって燃料などを節約した分、探査機にたくさんの観測機器を載せようと計画したのです。図2では、スイングバイをするたびに軌道が少しずつ小さくなっていく様子が描(えが)かれています。

     なお、「ベピ・コロンボ」という名は、水星の研究に多大の貢献(こうけん)をしたイタリアの科学者ジュゼッペ・コロンボ博士(1920~84)=写真2=にちなんだものです。イタリアでは、「ジュゼッペ」という人の愛称(あいしょう)が「ベピ」なのです。7年間の旅を、声援(せいえん)しながら楽しみに待つことにしましょう。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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