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学校読書調査

家庭で育む喜び 大人が読む姿手本に

 本を好きな子どもは多いのに、小中高と進むにつれ読書から遠ざかっていく--。毎日新聞が全国学校図書館協議会(全国SLA)と合同で実施した「第64回学校読書調査」からは、こんな傾向が浮かぶ。その背景を探ろうと、さまざまな読書体験と現在の読書行動との関係などを尋ねてみた。【池乗有衣、平林由梨、倉岡一樹】

 「小学校に入る前、家の人に本を読んでもらったことがあるか」との問いに、「よく読んでもらった」は、小学生40%、中学生35%、高校生35%だった。「ときどき読んでもらった」は、小学生36%、中学生41%、高校生40%。「よく」と「ときどき」を合わせると、小中高とも4人に3人は幼い頃に読み聞かせをしてもらった記憶があるようだ。一方、「まったく読んでもらわなかった」は、小学生11%、中学生10%、高校生9%だった。

 家の人に本を読んでもらったことがある層は、ない層に比べ、本を読むことが好き(「好き」と「どちらかといえば好き」の合計)との回答が、小中高とも1割前後高かった。

 また、「気に入って何度も繰り返し読んだ本」や「考え方や生き方に影響を与えた本」があると答えた割合も、同様の傾向だった。幼少期の読書体験が影響した可能性がある。

 「最近、家の人が本を読んでいるところを見かけることはあるか」に対する回答は、「よく見かける」と「ときどき見かける」を合わせると、小学生54%、中学生42%、高校生35%となった。この層では、「家の人に紹介された本を読んでみたいと思った」と答えた割合が、小学生70%、中学生61%、高校生53%だった。家の人が本を読んでいるところを見かけない層に比べ、いずれも25ポイント前後高い。言葉だけで「本を読みなさい」と言うより、親が行動で示す方が効果があるようだ。

 全国SLA参事の小林功・司書教諭は「家に本があり、家族が家で読書する。本を読み聞かせてくれる。本についての会話もある。そういう文化が多くの家庭にあることは素晴らしいことだ」と指摘。そのうえで、「家庭によって、蔵書の状況や読書に対する考え方は異なる。だからこそ、学校での読み聞かせや本の紹介により家庭環境による差を縮め、すべての子どもたちが等しく読書文化を享受できるようにしたい」と話した。

読書離れ止まらず

 5月の1カ月間に本(教科書・学習参考書・マンガ・雑誌や付録を除く)を1冊も読まなかった割合(不読率)は、小学生8%、中学生15%、高校生56%だった。小学生は前年から2ポイント増、中学生は横ばい、高校生は6ポイント増えた。小中高と進むにつれ読書から離れる傾向は変わらない。

 1カ月間の平均読書量は小学生9.8冊、中学生4.3冊、高校生1.3冊だった。小学生は2011年以来7年ぶりに2桁を割り込んだ。高校生は1968年以来、2冊未満が続く。

 雑誌の不読率は、小学生が52%と初めて5割を超えた。中学生58%、高校生66%で、いずれも高止まりしている。

 1カ月間に読んだ冊数は、小学生2.5冊、中学生1.7冊、高校生1.0冊。10年前に比べ半分以下になった。

 全国SLA参事の千葉尊子教諭は「環境が整い、時間があれば子どもたちは本を読む。一番近くにいる学校のクラス担任や学校司書、司書教諭が良書との出会いを用意し、発達段階に応じた読書の楽しみ方を教えることが重要だ」と話した。

心にゆとり必要

 「どんなときに本(雑誌やマンガを除く)を読みたくなるか」を聞いたところ、小中高とも「ひまな時間ができたとき」が過半数を占めた。小学生61%、中学生61%、高校生56%。全国SLAの磯部延之・調査部長は「あまり積極的な動機とはいえないが、塾や習い事、部活動などで忙しい日々を過ごす子どもたちにとって、心にゆとりがないと読書したいという気持ちにならないのではないか」と分析する。

 次いで、小中高とも「楽しみたいとき」という娯楽要素が挙がった。小学生15%、中学生15%、高校生20%。「何かを知りたいとき」は小学生10%、中学生8%、高校生10%だった。「楽しみたいとき」は女子の方が男子より4~6ポイント高く、「何かを知りたいとき」は逆に男子が女子より5~6ポイント高かった。

 一方、「その他」(小学生7%、中学生10%、高校生9%)の自由記述では、特に中学・高校生に「朝の読書のとき」という回答が多数あった。また、「夜、眠れないとき」(小5女子)、「ゲームを没収されたとき」(中2男子)、「スマホができなくなったとき」(高1男子)、「就職の面接のため」(高3女子)などの記述もみられた。

 磯部調査部長は「『朝の読書のとき』という回答は、学校の一斉読書の時間しか本を読んでいないと推測される。授業時間を確保するため一斉読書の時間は削られつつあり、中高生の読書の機会がますます減ってしまう恐れがある」と懸念を示す。「本を読む喜びを学校や家庭で積み上げていかないと、積極的な読書意欲には結びつかない」という。

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