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的川博士の銀河教室

522 探査機「はやぶさ2」

圧巻だった降下リハーサル

 日本の探査機「はやぶさ2」は、さる10月14~16日に行った第2回の降下リハーサルで高度22.3メートルまで降りることに成功、そしてさらに10月23~25日に実施(じっし)した第3回リハーサルでは、高度12メートルに達しました(図1)。

     実際の着陸の際、高度100メートルくらいから下は、地球から指令を送っていたのでは間に合わず、「はやぶさ2」は自分で何もかもやらなければなりません。そして高度30メートル以降は、地面に沿った姿勢で着陸してサンプルをとるため、レーザーを「はやぶさ2」本体から4本発射して、リュウグウの地面の角度を正確に見極めます(図2)。その際の頼(たの)みの綱(つな)は、距離計(きょりけい)(LRF:レーザー・レンジ・ファインダー)です。

     今回は2回目のリハーサルで、LRFが想定通りに機能することと「はやぶさ2」が半径約5メートルの円の中心を狙(ねら)って降りて行けば、その円の内側に到達(とうたつ)できることを確認しました。着陸の候補地L08の内部に、半径10メートルくらいのかなり平らそうなところがあり、そこを狙いたいのでしょう。そして3回目には、さらに高い着陸精度を確認した可能性があります。

     「はやぶさ2」は、左右に大きくひろげた太陽電池を持ち、長さ約1メートルの試料採取装置(サンプラーホーン)の先端(せんたん)を表面にくっつけて試料を取ります。大きな岩が表面にあると機体が傷つく恐(おそ)れがありますね。ところが、これまでのリュウグウ表面の写真では、どこもかしこも岩だらけで、平らな場所などないように見えます。そこで、高度を下げて地形をよく見極め、着陸の精度をうんと高める必要が出てきたのです。

     チームは、今回のリハーサルで「狙った場所に着陸する」自信を深めたようですから、これから年末年始にかけて、リハーサルで得られた豊富な情報を基に十分な議論・検討をし、来年1月末以降の着陸で、念願のサンプル採取に成功してほしいものです。

     図3は、2回目の降下リハーサルの際に「はやぶさ2」のカメラが高度42メートルからとらえたリュウグウの表面です。直径2~3センチメートル程度の小さな石ころまで写っていますよ。これまで小惑星(しょうわくせい)を探査機から撮影(さつえい)した写真では、世界最高の解像度です。

     それから、3回目のリハーサルでは、着陸する際に探査機を誘導(ゆうどう)する目印である「ターゲットマーカー」を落としました。このターゲットマーカーについては、別の機会にくわしく紹介(しょうかい)することにしましょう。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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