サンリオのキャラクター「ハローキティ」が11月1日に誕生日を迎えました。ハローキティは来年、キャラクター誕生から45周年を迎えます。時代とともにデザインが変わり、世代を超えて親しまれてきました。日本だけにとどまらず、海外でも高い人気です。キャラクターの歴史を振り返ります。【篠口純子】
どうやって生まれたの?
1960年に設立されたサンリオは、ギフト商品の企画や販売を始めました。キャラクターの開発に取り組み、74年にデザインしたのが「ハローキティ」です。当時の調査で、キャラクターのモチーフとして人気がある動物はイヌ、ネコ、クマでした。イヌはすでに「スヌーピー」が、クマはサンリオの「コロちゃん」がいたため、ネコをデザインすることにしたそうです。
75年に第1号商品として、ビニール製の小銭入れ「プチパース」が発売されました=写真。その時はまだ名前がついていませんでした。ルイス・キャロルの小説「不思議の国のアリス」の続編「鏡の国のアリス」に登場するネコの名前「キティ」に「ハロー」をつけ、名前が決まりました。
昔は輪郭がくっきり!
プチパースは5~6種類ありましたが、圧倒的にハローキティが人気でした。しかし、「リトルツインスターズ」や「マイメロディ」など、さまざまなキャラクターが生まれ、ハローキティの人気は落ち着きました。
80年、3代目デザイナーに山口裕子さんが就任しました。山口さんはサンリオショップに足を運び、お客さんにハローキティの印象を聞きました。「黒い線の輪郭が冷たく感じる」「服がいつも同じ」「耳がとがっている」などの声を聞いたそうです。そこで81年、黒い線の輪郭をなくし、顔を斜めに向けたぬいぐるみのようなデザインにしました。人気は復活し、85年にはサンリオで最も売れたキャラクターとなりました。
何度もブームがあったの?
80年代後半になり、ハローキティとともに育った高校生から「大人が持てるデザインの商品を作って」とデザイナーのもとに手紙が届きました。87年には当時流行していたモノトーンを取り入れ、キャラクターグッズとしては異例の白と黒のデザインで売り出しました。翌年は、チェックを取り入れました。それまでの「キャラクターは子どものもの」という考えを打ち破りました。
90年代半ばには写真シール作製機や、ピンク色のキルト柄携帯電話ケースといった大人向けグッズが大ヒットしました。子ども向けの文具だけでなくキッチン用品や家電など、ファンの成長とともに商品が増えていきました。キティグッズを集めている若者を指す「キティラー」という言葉も生まれました。
マライアやガガもファンなんですって?!
2000年代に入ると、人気は海外へ広がっていきます。アメリカの人気歌手マライア・キャリーさんやレディー・ガガさん、モデルのヒルトン姉妹など多くのファンがいます。ガガさんは13年、東日本大震災の復興支援のチャリティーオークションに、世界に2体しかないハローキティの特製ぬいぐるみを出品しました=写真・サンリオ提供。
ハローキティの商品は現在、130の国と地域で発売されています。日本を代表するキャラクターの一つとなりました。
えーっと、口は…?
サンリオの担当者に聞きました。最初にデザインされたときから描かれていません。ファンの人からは「見ているといやされる」「うれしいときは一緒に喜んでくれて、悲しい時はなぐさめてくれているように見える」という声をよく聞くそうです。
口が描かれていないことで、見る人の気持ちに寄り添うことができるのでしょう。時代に合わせたかわいさと、変わらない優しさが長年愛される理由かもしれません。
◆プロフィル◆
名前 キティ・ホワイト
誕生日 11月1日
体重 りんご3個分
身長 りんご5個分
家族 双子の妹ミミィ、パパ、ママの4人家族。近くにおじいちゃん、おばあちゃんが住んでいる
住んでいる場所 イギリスのロンドン郊外
好きなもの ママの作ってくれたアップルパイ
将来の夢 ピアニストか詩人
得意なこと クッキー作り