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日露首脳会談

首相、残り任期見据え「領土」成果急ぐ

第2次安倍政権発足後の日露関係

 安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は14日の首脳会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速させることで一致した。首相は2021年9月までの自民党総裁の任期内に平和条約を締結するため、北方領土交渉を本格化させたい考えだ。ただ、プーチン大統領との4島の帰属問題を巡る立場の隔たりは大きく、領土問題解決に向けた道筋は描き切れていない。

 「特に重要な平和条約締結の問題をしっかりと議論したい」。会談の冒頭、静かに日露関係の現状を語り始めた首相は「平和条約」との言葉に力を込めた。プーチン氏は「自民党総裁として(9月に)当選されたことに祝意を申し上げたい。数年にわたった対話を今後とも継続していきたい」と応じた。

 首相は自民党総裁選で「戦後外交の総決算」を掲げ、平和条約締結をレガシー(政治的遺産)にしたい考えをにじませた。しかし、任期は残り3年弱。「条約の条文の詰めに半年、国会での批准に数カ月かかる」(政府関係者)との見方もあり、来年6月に予定されるプーチン氏来日までの大枠合意が「任期中の条約締結へのギリギリのライン」(同関係者)という状況だ。

 領土交渉は、14年のロシアによるウクライナ南部のクリミア編入などを受けて滞っていた。15年に再開を確認したが、日本政府は16年に協議入りを決めた北方領土での共同経済活動を優先。領土交渉の進展につなげる狙いだった。

 首相は会談で、共同経済活動の進捗(しんちょく)状況を確認。昨年から始まった元島民の航空機墓参も取り上げた。日露の協力が一定の段階に達したため、領土交渉加速に踏み込めるとの論理だ。首相は記者団に「私とプーチン大統領のリーダーシップの下、戦後残されてきた懸案、平和条約交渉を仕上げていく決意だ」と語った。

 プーチン氏は9月にロシア極東ウラジオストクで「前提条件なしの平和条約締結」を提案した。日本政府内には「領土問題の棚上げだ」との反発が上がったが、首相は「熱意の表れだ」と強気だった。首相は直後に、「本気なら交渉を進めよう。部下にも指示を下ろしてほしい」とプーチン氏に伝えた。提案自体は断りつつも、それを糸口にプーチン氏を交渉に引き込む狙いだったとみられる。

 交渉加速に合意したものの、日本政府内には「4島返還論」や、歯舞・色丹両島の返還に残る2島(国後、択捉)での共同経済活動などを組み合わせた「2島プラスアルファ論」などが交錯する。首相にとって国内世論とロシアの双方をにらんだ難しいかじ取りとなる。【シンガポール小山由宇】

ロシア側の意欲 不明

 「あなたが優先事項だと考える問題を含め、相互関係に関わる全ての側面について話し合う機会を喜ばしく思う」。プーチン露大統領は会談冒頭、こう述べながらも笑顔は見せなかった。会談後、ペスコフ大統領報道官が平和条約交渉の加速化などで合意したと述べたが、「加速化」がロシアの交渉への意欲を示すかは不明だ。これまでロシア側は「日露間では十分な信頼関係が築けていない」(プーチン氏)と主張。平和条約交渉に入る前の実質的な条件として、北方領土での共同経済活動の実現を求めてきたが、現時点では実現のメドが立っていない。このため、ロシアが「本丸」の領土交渉に移ることまで合意したのかは定かではない。

 ロシア外交筋によると、プーチン、安倍両首脳が2016年に議論した際には、「4島」や「2島」などという具体的な返還方式や対象となる島まで踏み込まなかったという。今回安倍首相が実質的に2島引き渡しで合意を狙う姿勢をにじませたことにより、ロシアとしては期せずして譲歩を引き出した格好だ。

 それでもロシア側が早急に「2島」で手を打つ公算は小さいとみられる。プーチン氏は9、10月に相次いで平和条約問題に言及した際に、まずは日本と善隣友好条約を結んでから、国境画定交渉に臨みたい考えを繰り返していた。これはロシアが中国との領土交渉をこの方式で解決させた前例に沿ったものだ。

 またロシアは、2島を引き渡す場合には在日米軍を駐留させないという保障を求めているが、日本側は「我が国の外交にとって日米安保は最大の柱」(日本外交筋)として譲れない。プーチン氏は9月に安倍首相と同席した会議でも「この地域での軍事同盟(=日米同盟)の多くの点に心配せずにはいられない」と述べており、不信感の解消にまで至っていない模様だ。【モスクワ大前仁】

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