小林 聡美・評『カモメの日の読書』『針と糸』
心地よい暮らしの風を感じながら自分のペースで日々を謳歌する
◆『カモメの日の読書 漢詩と暮らす』小津夜景・著(東京四季出版/税別2000円)
◆『針と糸』小川糸・著(毎日新聞出版/税別1400円)
朝、カーテンを開けたら雲ひとつない見事な快晴! この瞬間、今日の私の計画は決まった。掃除洗濯朝ごはんをぱぱぱっと済ませ、電車に飛び乗った。目指すは高尾山。最寄りの駅から特急で50分もかからない。いざ到着してみると、紅葉のシーズンも相まってか、リフトもケーブルカー乗り場も凄(すご)い列。乗れるまで50分!? 私の計画に上りを歩く予定はまったくなかったので、蕎麦(そば)でも食べて帰るか、と一瞬思ったけれど、待てよ、せっかく来たのだから森林浴だけでも、登れるところまで登って下りてこよう、と登山口から「ルート1」を歩き始めた。
こんな思いつきの休日は最高に楽しい。自由で、冒険的で、ロマンがあって。今回の2冊を読んだら、無性に…
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