「4月に経営改革がスタートしているのを知っているよね。そのためには企業の文化や風土を変えないといけない」。今年11月、JTB本社(東京都品川区)で社長の高橋広行(61)は5人の中堅・若手社員と昼食をとりながら語りかけた。「イノベーティブな会社に変化を遂げるためにはどうしたらいいか聞かせてほしい」
2008年の金融危機後の業績の落ち込みや、消費者のパック旅行離れなど市場の変化に対応し、JTBはネットの強化や店舗の再編など改革を進めてきた。しかし、その間にもオンライン旅行会社(OTA)が破竹の勢いで成長し、世界の旅行市場でトップ3を占めるようになった。トップのエクスペディアの旅行取扱高は約10兆円(17年)と、JTBの5倍以上もの差がついている。「OTAの取り扱いは異次元で、われわれの地位は低下している」。高橋は「大きく方向性を変えるぞ」と周囲に告げ、16年から抜本的な改革に向けて構想を練ってきた。
「今回目指すべき新体制を『第三の創業』と位置づけ、新たなビジネスモデルを構築していく」。昨年3月末…
この記事は有料記事です。
残り728文字(全文1182文字)