メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

「災害弱者」避難 障害者対応、北海道胆振東部地震で課題浮き彫り

時崎由美さんと脳性まひを持つ長男。たんや唾液を吸引する機械があり、昨年9月の地震後は一時孤立状態になった=札幌市東区で2018年9月10日、日下部元美撮影

 全国初の全域停電に見舞われた昨年9月の北海道胆振東部地震では、人工呼吸器など電気が命綱となっている障害者への支援のあり方や障害者対応ができる「福祉避難所」の受け入れで山積する課題が浮き彫りになった。半年を経た現在も取り組みは進まず、専門性の高い受け入れ先の新設を求める声も強まっている。【日下部元美、安達恒太郎】

99%が「避難せず」

 全身の筋力が低下する「筋ジストロフィー」など道内の難病を抱える患者らを対象にした調査で、昨年9月の地震で99%が避難しなかったという結果が出た。一般の避難所は障害者向けの設備が不十分で、設備のある福祉避難所の場所は知らなかったとの理由が多かった。半数の48%は障害で一人では避難できないとも回答した。

 道難病連と道筋ジストロフィー協会が地震後に会員約500人を対象に調査。304人から回答があり、昨年12月に分析した。地震後、ケアマネジャーら福祉関係者からの安否確認は72%が「なかった」と回答。1人暮らしの障害者に限ると安否確認がなかった割合は47%で、孤立しがちな単身の障害者を支援する態勢が不十分な実態がわかった。

 停電で使えなかった医療器具は複数回答で人工呼吸器が34%で最多。酸素供給機器28%、電動ベッド18%、たんなどの吸引器14%などと続いた。

 一方、自治体が障害者、高齢者、妊婦ら向けに開設する「福祉避難所」の場所を知っているとの回答はわずか10%。障害者らを支援する制度の認知度はいずれも低く、同協会は国や自治体の制度を周知する必要があると指摘する。

福祉避難所誘導なく

 難病患者が集中する札幌市では昨年9月、福祉避難所を開設したが、「患者以外も殺到しかねない」として公表せず、受け入れを希望する被災者が利用できないケースも出た。

 同市で福祉避難所を利用したのはわずか2人。一般避難所を訪れた障害者1人、高齢者1人を避難所の判断で移した。

 一方、道難病連が市内で運営する難病者向け施設「道難病センター」には地震時に患者6人がおり、3人が一般の避難所を利用しようとしたところ、外国人観光客らであふれており引き返した。その際、福祉避難所の案内はなかった。さらに、難病連には患者や家族から避難先の問い合わせや相談が数百件も殺到。地震当日に道と札幌市に避難先を問い合わせたが「福祉避難所の開設場所は不明」とされ、物資提供も断られたという。

 自治体が事前に名簿に登録する要支援者は札幌市で約11万人いるが、実際の避難対応を定める「個別避難計画」を策定したのは、このうちわずか約3%。策定が明確に規定されず、町内会など地域任せになっているのが原因という。市は地震後、職員が名簿作成の手続きを放置していた不祥事を明らかにした。

おすすめ記事

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 10代前半の死因、自殺が1位 若者対策が喫緊の課題
  2. 羽生、魂の演技でフリー200点、トータル300点超え
  3. 「皇帝」の演目演じきった羽生、300点台の2位にも「負けは死も同然」
  4. 「4回転半は試合で飛ばないと意味ない」羽生結弦の一問一答(下)
  5. 「今、一番したいのは練習」羽生結弦の一問一答(上)

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです