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社説

沖合の海底に保護区 数合わせに終わらせずに

 政府が自然環境保全法の改正案を国会に提出した。日本の沖合の海底に海洋保護区を設定し、海底を乱す資源開発や漁業を規制するためだ。

     深海の生きものや生態系の保全を進める狙いがある。今国会での成立を目指している。

     日本は領海と排他的経済水域(EEZ)の面積が計447万平方キロに上り、世界第6位だが、海洋保護対策では世界に後れをとっていた。これを契機に、豊かな海を守る取り組みを強化しなければならない。

     環境省は小笠原諸島沖の海底を新たな保護区とする方針だ。海山や海溝、熱水噴出孔などがあり、独特の生態系が形成されている。高値で取引される宝石サンゴも生息する。保護区にふさわしい区域である。

     保護区での資源探査や底引き網漁などは原則、環境相への届け出制とし、特に保護が必要な区域で実施する場合は許可制とする。

     小笠原諸島沖では鉱物資源のマンガンの存在も確認されており、保全と利用の両立が求められる。関係省庁が連携し、外国船への監視体制などを整えていく必要もある。

     国連の生物多様性条約などに基づき、2020年までに各国が管轄する海域の10%を保護区とすることが世界共通の目標となっている。

     生物多様性を守り、その恵みを持続的に利用するためだ。既に各国の管轄海域の約17%が保護区に設定されたが、日本は8・3%にとどまっていた。小笠原諸島沖が加わることでやっと10%を超える見通しだ。

     しかし、国際社会に胸を張れる状況にはまだない。既存の保護区の大半は海洋水産資源開発促進法による指定であり、漁業のための水産資源保護が主目的となっている。

     環境省は、生物多様性の観点から重要度の高い海域321カ所を選定している。だが、漁業などとの兼ね合いで保護区になっていない所も多い。米軍普天間飛行場の移設先である沖縄県の辺野古沖もその一つだ。

     多様な生態系を保全することが、豊かな海をはぐくみ、持続可能な漁業にもつながる。省庁の縦割りを排し、海の保全と利用をバランスよく進めることが重要だ。

     小笠原諸島沖の保護区設定を、国際目標達成のための数合わせに終わらせてはならない。

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