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領土「固有」で統制 教科書検定 竹島・尖閣表記

 2020年度から使われる小学校の社会の教科書には、日本の領土を巡る記述について複数の検定意見が付き、各教科書会社が修正した。

     社会では「竹島(島根県)」「尖閣諸島(沖縄県)」「北方領土」について、5、6年生の教科書全6点と、3~6年生の地図の全2点が「固有の領土」と記載した。中学校や高校の教科書はこれまでも領土について詳しく記述していたが、新学習指導要領では小学校でも「領土の範囲」を指導するよう明確な基準が示された。

     現行指導要領の解説書には、北方領土を「固有の領土」として取り扱うよう示されているが、竹島と尖閣諸島については言及がなかった。このため現行教科書と地図全10点のうち、竹島に触れたのは6点、尖閣諸島は5点だった。

     検定では領土問題に絡み、少なくとも3~6年生の教科書と地図の計8点が計13カ所の修正を求められた。教育出版は5年生の教科書の「尖閣諸島については、領土をめぐる問題はない」とした記述に「誤解する恐れのある表現」との指摘を受けた。日本政府は「解決すべき領有権の問題はない」という立場だが、「めぐる」という文言が領海侵犯のような領有権以外の課題も含む解釈をされる余地があるとされた。このため「領土問題はない」と変更して検定に合格した。

     教育出版は6年生の教科書で「竹島は、日本の領土でありながら」と記述。「児童が誤解する恐れのある表現」との意見が付いたため「竹島は、日本固有の領土でありながら」と表現を変えた。ある教科書会社の編集者は「文脈の中で現状を説明したつもり。小学生が『固有の領土』と『領土』の違いを理解できるだろうか」と疑問を呈した。

     政府は今年2月、北方領土について「ロシアとの交渉に支障を来す恐れがあり、回答を差し控える」との答弁書を閣議決定した。政府の答弁と指導要領が異なる現状について、別の編集者は「指導要領に沿って編集するだけだ」と言葉を濁した。

     領土に関する記述について、藤田英典・東京大名誉教授(教育社会学)は「『固有の領土』については、歴史的経緯も含めて根拠を示す必要がある。『領土問題は存在しない』という表現をするならば、当事国(韓国、中国、ロシア)の主張やその根拠、国際世論の見方を検討するための情報まで提供されるべきだろう」と話す。

     一方、憲法改正について取り上げた教科書もあった。教育出版は6年生で改正に賛成する人と反対する人の両方の立場があることを紹介した。【水戸健一】

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